2021年下半期閲覧数ランキング
(集計期間2021年6月1日~2021年12月20日)
早いもので、今年もあと残りわずかになりました。「主婦の気ままな読書ブログ」を立ち上げてからは、読んでは書くの繰り返しで一日一日があっという間に過ぎ、もう7カ月目です。
最初はどうなることやらと思っていたブログの閲覧数もどんどん伸びて、おかげさまで沢山の人に読んでいただいています。twitterでも感想やお褒めの言葉をいただける機会が増え、出版社の方や著者の方まで見て頂いている事を知り、驚きと共にブログを立ち上げてよかったという感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。
さて、約半年間で計47作品の感想を書きまして、どの作品が多くの方に読まれたかを集計したところ、予想外の結果が出て驚いています。この半年間を振り返り、著者の人気、新刊、話題作、出版社の宣伝、他の媒体の影響など自分なりに分析し、まとめました。よろしければお読みください。
※twitterから来ていただいている方も多いので、フォロワー数の影響があります。また、集計間近に書いたのものもありますので、公平な条件ではありません。よろしくお願い致します。
熱帯 森見 登美彦 (1位)
今から読み返してみると随分短い紹介文でしたが、謎だらけのこの小説をどういう風に解説したらよいのか相当悩んだのを覚えています。
この小説は人気作家森見登美彦の新刊で、本屋大賞にもランクインされていたことから楽しみにしていまして、文庫が発売されて間もなく読みましたが、面白いけど難しいなと言うのが正直な感想でした。いろいろな読書サイトを見ても???となっている方や、戸惑っているファンの方も多かったように思います。私もそうですが、作品の解釈や読まれた方の感想が気になる小説でもありましたので、そう言った意味で閲覧数が伸びたのではないかと思います。
また、熱帯の公式サイトがこのブログのツイートに「いいね」を押してくれたのも大きかったです。
初めて閲覧数が3桁に上り、作家、森見登美彦の人気を実感した結果でもありました。
未来 湊 かなえ (2位)
イヤミスの女王、湊かなえの新たなる代表作。
書店でも夏の間中、店頭の一番目立つところに展開されていて、イヤミスの苦手意識がありつつも気にはなっていました。やはり人気作家だけあり話題にもなっていましたから、発売されてから1カ月経った頃にようやく読んでみようという気になって手に取りました。
文章の読みやすさと謎解きの要素があり、ページをめくる手が止まらないくらい面白いのだけれど、悲惨な描写が続くのが何とも言えない気持ちになった。社会問題のニュースを聞くよりも、小説で読む方がよりリアリティを感じることが出来るので、それが狙いなのかと。そう言った意味でも多くの人に読んで欲しい小説です。
ブログの閲覧件数が多かったのは著者の人気が一番の要因ですが、「読書メーター」の課題図書にもなっていましたので、丁度そのタイミングで見に来て下さる方も多かったように思います。
噛みあわない会話と、ある過去について 辻村 深月 (3位)
何が凄いって、この小説の感想をアップしたのが11月中旬で、集計まで1カ月しかなかったにもかかわらず3位の閲覧数だったこと。twitterの読了ツイートも多く、ちょうど文芸書の新刊も出たところでもあったので、毎日のように著者の名前を見かけました。
講談社の文庫本は表紙絵が手に取ってしまいたくなるような目立って可愛いものも多く、書店で沢山並べられていたり、電車の中吊り広告などでも目を引きます。また、フィルム包装も私はうれしいです。
この小説はとても読みやすく、日常の裏側にある怖さが表に現れた時、恐怖のどん底に叩き落される展開が面白かった。日常を切り取った起こり得るシチュエーションで、もし自身の身に起こったらと想像してゾっとする。共感できる要素が多いのも人気の理由のひとつなのかも。
本屋大賞の「かがみの孤城」が本の雑誌でベストオブザイヤーに選ばれるなど、人気実力を兼ね備えた作家だからこその閲覧数だと納得しました。
三千円の使いかた 原田 ひ香 (4位)
読みたい!という声も多数。発売から4カ月たっていますが、通販の売れ筋ランキングでは今でも度々上位にラインクインしています。書店でも店頭に並べられ、立ち読みされている方もよく見かけました。
貯蓄には興味があるけれど、how to本は…と言う方にも、物語を通してその人に合ったお金の価値観や貯蓄の必要性を考えるきっかけになる本です。ついでにちょっとしたお得情報や、国の政策なんかも知ることが出来、お金について多角的な視点でとらえることが出来るように構成されています。
気楽に読めて、将来の事も考えなきゃと自然と思わせるところがあって、読んでよかったです。
閲覧数が多かったのは、それだけ読みたいと思っている方も多いからでしょうか。ブログの内容もとても好評でした。
著者の原田ひ香先生からも「いいね」をいただいたので、この感想はお墨付きです。
そして、バトンは渡された 瀬尾 まい子 (5位)
本屋大賞受賞作。発売されたのが昨年の秋なのにずっと売れ続けているのが凄いですね。今年の秋に映画が公開され、感動したとの声も多く再び話題になっています。
著者が国語教師をされていた経歴があるからかもしれませんが、この小説は本当に読みやすい。決して恵まれている環境とは言えない主人公の物語だが、作品全体が暖かい雰囲気に包まれていて、ほっこりした気持ちになる。また、食卓に上る料理がどれも美味しそうで読んでいて幸せな気分になれる小説でした。
この小説から入って著者の他の小説を読んでいる人が多く、瀬尾まい子入門としてもおすすめ。
やはり、ずっと話題になっている作品なので、読んでいただく機会も多く、閲覧数も伸びた感じです。こちらも読書メーターの課題図書になっていました。
姑獲鳥の夏 京極 夏彦 (6位)
秋の講談社文庫ミステリーフェアーがきっかけで購入しました。この作品と著者は昔から気になっていて、シリーズを愛読しているファンが多いのも知っていましたが、いかんせん分厚い。この厚さが長年購入をためらっていた理由でもあり、フェアの文庫ポーチプレゼントで購入の機会を得たというのが本当のところです。
そして何よりも凄いのは、1998年刊行ながら人気は未だ衰えず、旧刊なのに多くの方に読んでいただけたことです。
根強いファンを持つこのシリーズの人気の秘密は、個性的なキャラクターに加え、戦後のノスタルジックな風景とオカルトミステリーというおどろおどろしさがマッチした世界観。近代文学を匂わせる文章がそれらを完璧なものにしているところです。
特に、他の媒体との連動もなかったので、ただ単にこの作品の人気が閲覧数に結びついているのだと思うと、改めてこの作品の凄さを実感しました。
あめつちのうた 朝倉 宏景(6位)
講談社のツイートで知り、興味を持ったのがきっかけです。
家族がタイガースファンだったので、阪神園芸さんの活躍はTVでもよく見ていました。裏方の阪神園芸さんにスポットライトを当てた小説なんておそらく他にないんじゃないでしょうか。
この小説は新人のグランドキーパーを通してその仕事内容や技術、グラウンドの設備など球場の裏側に焦点を当てています。普段何気なく目にしているものがどういう風に作られて、維持されているかを知ることが出来、面白い。青春の甘酸っぱいお仕事小説として楽しく読めてしまう。
初めて感想を出版社にリツイートしていただいた思い出深い作品でもあり、それが閲覧数にも影響を与えたのではないでしょうか。リツイートはブログを書くモチベーションにもなっています。
愛なき世界 三浦 しをん (8位)
著者の作品は、書籍と映像化されたものを合わせると結構あって、最初に映画で「舟を編む」を観てから好きになった作家です。この作品は本屋大賞にもノーミネイトされており、装丁も綺麗なので気に入り、発売前から通販サイトで予約をしていました。
植物の研究に身を捧げている女性に恋をしてしまった料理人見習いのお話。生身の人間の良さを分かってもらえれば気持ちも傾くのではないかと思われるが、ところがどっこい、こちらが植物の魅力にまんまとはまってしまう。読んでいる内に読者も植物がだんだん可愛く思えてくるはず。その具体的な描写に研究の大変さと好きなものに打ち込むことの素晴らしさも実感できる。
三浦しをんの作品は「舟を編む」や「神去りなあなあ日常」など取材を重ねて書いていると思われるものも多いのですが、この小説もそういった専門的な分野を詳細に描かれている作品でした。
ブログをアップしたのが12月に入ってからで、集計までに半月しかなかったのですが、多くの方に読んでいただけました。凄いですね。
二魂一体の友 萩原 朔太郎 室生 犀星 (8位)
これが一番意外だった。萩原朔太郎と室生犀星の友情を一冊にまとめた本で、好きな人は好きなんだろうけれど結構マニアックだと思っていたので、こんなに需要があるとは思いませんでした。
この需要と言うのは、もちろん文学が好きな方も含まれていますが、どちらかと言うと漫画やゲームの影響も大いにあったのではないかと思っています。近年、文豪にちなんだこれらのものがたくさん作られており、この作品の感想をアップした日と萩原朔太郎の誕生日、ゲームのイベントなどが重なったということもあって、検索数が伸びたタイミングでの需要だと思っています。
時間をかけて書いたので、出版社にリツイートしていただいて感慨無量でした。
これ一冊読めば二人の文豪の性格から、交友関係、どのような人生を歩んできたのか、詩を作るのにどれだけの苦悩があったのか、そして二人の友情など萩原朔太郎と室生犀星という人間の全てが隅から隅まで余すところなく集成されています。このボリュームに大満足でした。
ノースライト 横山秀夫 (10位)
記事をアップしたばかりなため集計期間は8日しかなく迷ったのですが、ランクインしましたので集計に入れることにしました。書店では大きなポスターも貼られ、店頭や、新刊、フェアーのコーナーと至る所に展開されていました。
「64」から6年、待ちに待った横山秀夫の新作。新聞記者の経歴を持つこの作家の書く文章は本当に読ませるし、泣かせる。
警察小説を多く書かれていますが、この作品は建築士が主人公で殺人事件ではなく、元クライアントが行方不明になるというミステリーです。もちろん、それだけでなく、様々な問題が次から次へと現れ、手に汗を握る展開に夢中になりました。横山秀夫らしい人間ドラマも重厚なものになっています。
男性読者が多いイメージを持っていましたが、読了ツイートは男女問わず反応してくださりました。続きが気になり一気に読み終えたという声も多かったように思います。著者の筆力に感嘆しますね。この人気もうなずけます。
日の名残り カズオ・イシグロ (10位)
著者の「私を離さないで」を読んで衝撃を受けて以来、その作品が私のお気に入りになっていますが、何故が当書は読んでいませんでした。何かのサイトで「絶対読んだ方がいい名作」というようなタイトルで選ばれていて、それがきっかけで読み始めました。
この物語は執事のスティーブンスが、旅をしながら英国の古き良き時代を回想していく話で、スティーブンスの語りによって物語が進行していきます。働くことや人生の意味などを考えさせられるこの物語のラストは涙なしには読めません。彼の人生は、成功だったのか、失敗だったのか、幸せとは何か。年を取って人生を振り返った時、多くの人は何を思うのだろうか?これから社会人になる人も、長年働いてきた人も是非読んで欲しい名作だと思います。
ノーベル文学賞を受賞した著者もこの作品も人気ですので、既存の作品ながら多くの方に閲覧していただけました。
本と鍵の季節 米澤 穂信 (10位)
集英社のフェアー冊子「ナツイチ」にも大きく紹介されていて、フェアーの開催と同時期に文庫新刊の発売があったので、そのタイミングで購入しました。
読書を再開したばかりだったので、著者の作品を読むのは実はこれが初めてで、ミステリーランキング常連の人気作家というのは後で知りました。また、ブログも書き始めた頃なので、今見るとあっ!ネタバレしてる…とにかく、思いつくまま書いたのですが、面白かったというのは伝わってくると思います。ええ。
物語は、二人の男子高生が微妙な距離感を保ちつつ降りかかる些細な事件を解決していくというストーリー。季節の移り変わりと共に二人の距離が縮んでいくが、同時に不穏な影が見え隠れする。二人のやり取りが微笑ましく、離れずくっつかずという特別な関係がいろいろな妄想を掻き立てられますね。
フェアーの一環として、人気声優による朗読も配信されましたが、この頃は感想の後にアニメ化を予想して勝手に登場人物にCVをつけたりしていました。懐かしいです。今でもアニメ化、ドラマ化しやすい作品だと思っていますし、して欲しいですね。
これからも当ブログ「主婦の気ままな読書ブログ」をよろしくお願い致します。
その他、下半期読了小説(読了順)
X’mas Stories 朝井リョウ あさのあつこ 伊坂幸太郎 恩田陸 白河三兎 三浦しをん
神様の罠 辻村 深月 乾 くるみ 米澤 穂信 芦沢 央 大山 誠一郎 有栖川 有栖