そして、バトンは渡された 瀬尾 まい子

瀬尾まいこ
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家族よりも大切な家族
~実の家族にはないきれいな距離感がいつも私のそばにある~

こんにちは。くまりすです。今回は、瀬尾まい子本屋大賞受賞作そして、バトンは渡された」をご紹介いたします。

story

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。
その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らす。
血の繋がらない親の間をリレーされながらも、出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つときーー。
大絶賛の2019年本屋大賞受賞作。
解説・上白石萌音(出版社より)

家族の距離感

親が何度も変わり、血のつながらない父親と暮らす高校生の優子は、担任の先生から悩みがあれば打ち明けるよう声をかけられるのだが、悩みが見つからず、心配してくれる先生に申し訳なく思ってしまう程で…

血のつながった親子同士でもいろいろなイザコザがあって当然なのに、コロコロ変わる家族や家庭環境に、何の悩みもないという事なんてあるのだろうか?

優子はそんな状況に「どこで暮らそうと誰と暮らそうと一緒だ」と考えたりもする。あっけらかんとした考え方は、前向きで、頼もしく見える一方で、まるで他人事ように考える彼女の事が心配でもある。

そして、それは本当に優子の本心なのだろうか?

家族と食事

物語の中で、血のつながっていない父親「森宮」との食事シーンが沢山ある。

手作りの食事や、食後のデザートの描写などとても美味しそうで、食べたくなってしまう。そして、その和やかな雰囲気に思わず顔がほころぶ。

毎日共に食事をとれるのは、家族の特権である。美味しいものを一緒に食べると、楽しい気持ちになり、一体感が生まれる。優子と森宮はお互い毎日楽しい食事をとることにより、その距離をどんどん縮めいく。

みんながいい親であろうとしてくれたように、私もいい娘でいたいと思っている

愛されて育った優子の真っすぐな気持ち。理不尽なことがあっても、許し、理解しようとする気持ち。優子の強さと思いやりが伝わってくる。

感想

いつからか友達親子という言葉ができ、対等な親子関係を築く家族も多い。最近の子供は空気を読みすぎるとも言われている。

娘のプリンを食べて悪びれない父親の「森宮」と、父親の分までプリンを買う娘の優子。そしてそれを食べられてもしょうがないとする。

優子が大人びて見えるのは、その家族環境もあるのだろうが、多くの出来事とそのたびに与えられる思いやりをきちんと理解し、それを返すことが出来るからだろう。

そして、そのように行動できるのは相手の本心を理解しているから。多くの良い出会いが優子を成長させたのだ。

様々な家族の形がある中でも、家族は愛情や思いやりが大切であり、その本質は変わらないのである。

著者:瀬尾まいこ(セオマイコ)
1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、単行本『卵の緒』でデビュー。05年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞を、09年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞を、19年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞(「BOOK」データベースより)

10月29日より映画が公開されます。公式HPはこちらから👇

映画『そして、バトンは渡された』オフィシャルサイト | 10月29日(金)公開 (warnerbros.co.jp)

主演:永野芽都さん、
田中圭さん、岡田健史さん、石原さとみさん、大森南朋さん、市村正親さん、ほか
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