初夏・梅雨に読みたい小説10選

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晴耕雨読。しとしとと降る雨の音を聞きながら本を読む。梅雨のこの時期の読書はいつもと違った風情がありますね。

しかし、5,6月は本が売れない時期とのこと。雨のため書店へ足を運ぶ機会が減るというのがその理由のようです。
最近は家に居ながらでも本が購入できる通信販売や電子書籍の需要も増えていますので、昔よりは天候に左右されにくくなっているのではないでしょうか。

近年の買い物スタイルの変化に伴い、出版業界でも大きな変化がありました。
コロナ感染症での巣ごもり需要の追い風や、社会現象にもなった人気アニメなどの影響で、2020年にはとうとう電子書籍が紙の出版物の売り上げを上回ったそうです。
この10選でも取り上げているベストセラー小説『西の魔女が死んだ』も5月27日に電子書籍化され、配信がスタートしたばかり。

紙派の私としては少し寂しい気もしますが、在庫切れがなく、経済的で便利な電子書籍はまさに今のスマホ時代のニーズに応えたもの。その時の気分で読みたいものをすぐ読めるのが良いですね。

初夏・梅雨に読みたい小説10選」は、この時期のいろいろな記念日や事柄をテーマに、その理由や由来なども併せててご紹介しています。
季節感のある一冊、その時の気分選んだ今日の一冊、何気に手に取ってみた本が運命の一冊になるかも知れません。

初夏・梅雨(5月・6月)に読みたい小説10選

子供がテーマの小説

子供の日(5月5日)
こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する日。
本来の行事「端午の節句(たんごのせっく)」が開かれていた5月5日を、1948年に「こどもの日」として祝日と制定されました。
昔は「端午の節句」は男の子のための日でしたが、今は男女の子供の区別はありません。

円卓 西 加奈子

~「8歳のこっこは、孤独になりたい」きらきら光る世界で考え悩み成長する姿を描く感動作~

story:公団住宅で三つ子の姉と、両親、祖父母に愛されて暮らす「こっこ」こと渦原琴子は、口が悪く、偏屈で硬派な、孤独に憧れる小学三年生。こっこの日常は、不満と問題と驚きと発見に満ちている。世間の価値観に立ち止まり、悩み考え成長する姿を、活きのいい言葉でユーモラスに温かく描く。光溢れる感動傑作。(「BOOK」データベースより)

織田作之助賞、直木賞など数々の賞を受賞している西加奈子の小説。2014年に映画化されています。

大人になってから思い出す子供の頃の記憶は、あの頃はよかったと思えるものが多いですね。しかし、実際は毎日悩みの種があったり、周りの友人や大人が格好良く見えたりして、早く大人になりたかったのではなかったのではないでしょうか。
色の褪せたバナナの、陰鬱な黄色。折りたたみ自転車の、なんだか胡散臭いブルー。そして何かの肉の、その嫌らしい赤と、脂肪の濁った白。五感で感じる色鮮やかな世界、子供の目から見た描写が素敵で、忘れていた子供の頃の気持ちを思い出させてくれます。
また、先入観のない純粋で残酷な子供の感性や、内面の葛藤がリアルに表現されていて、思わず笑ってしまう。

新しい言葉を知り成長していくに従って、個性の塊だったこっこの変化に考えさせられます。
子供の成長を願わずにはいられない、子供の頃の記憶を呼び覚ます物語。

ヒューマンドラマ【子供・家族・成長・言葉・イマジン・ユーモア

西加奈子(ニシカナコ)
1977年、テヘラン生まれ。2004年、『あおい』でデビュー。07年、『通天閣』で織田作之助賞を、13年、『ふくわらい』で河合隼雄物語賞を、15年、『サラバ!』で直木賞をそれぞれ受賞(「BOOK」データベースより)

母がテーマの小説

母の日(5月の第2日曜日)
母の苦労をねぎらい、感謝する日。
母の日の起源はアメリカ南北戦争終結直後、夫や子どもを戦場に送るのを今後絶対に拒否しようと立ち上がり「母の日宣言」を発した女性参政権運動家の娘が亡き母親を偲び、教会で白いカーネーションを贈ったことがきっかけと言われています。
日本では、1973年に森永製菓が「母の日森永大会」という広告を打ち出し、母の日が普及したそうです。
なお、母親が健在の場合は赤いカーネーションを贈り、母親が鬼籍に入っている場合は白いカーネーションを贈ることが一般的です。(『ウィキペディア(Wikipedia)』より)

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン リリー・フランキー

~「なんも心配せんでよか。もう、寝なさい」多くの人が涙した母親の無償の愛~

story:オカン。ボクの一番大切な人。ボクのために自分の人生を生きた人ー。四歳のときにオトンと別居、筑豊の小さな炭鉱町で、ボクとオカンは一緒に暮らした。やがてボクは上京し、東京でボロボロの日々。還暦を過ぎたオカンは、ひとりガンと闘っていた。「東京でまた一緒に住もうか?」。ボクが一番恐れていたことが、ぐるぐる近づいて来るー。大切な人との記憶、喪失の悲しみを綴った傑作。(「BOOK」データベースより)

200万部を突破した大ベストセラー長編小説。2006年に本屋大賞を受賞している。ドラマ化、映画化、舞台化もされています。

リリー・フランキーの幼少の頃から母親が亡くなるまでの母親との半生が描かれている。自身の記憶をたどるように進んでいく物語は回顧録のようにもエッセイのようにも読めます。
当時、社会現象のようにもなり、昭和の日本の風景や、出来事、懐かしい言葉も沢山。
幼少時代から食べ慣れたおふくろの味、常に明るく振る舞い弱音を吐かなかった母親、自分のものは安物で済ます母親、いつも気にかけて背中を押してくれる母親。子供の頃の母親の姿を思い起こされる人も多いのではないでしょうか。

母親が誰よりも好きだと公言したり、いつも一緒にいるとマザコンのレッテルを貼られる時代。表向きは独り立ちしている風を装っても、実際は母親を頼りにしたり、甘えていたりするもの。
どれだけ親孝行をしてあげたとしても、いずれ、きっと後悔するでしょう。ああ、あれも、これも、してあげればよかったと。
母の偉大さを実感する一冊です。

自伝的小説【母親・家族・父親・貧乏・愛・人生・自伝

リリー・フランキー(リリーフランキー)
1963(昭和38)年福岡県生れ。武蔵野美術大学卒業。イラストレーター、文筆家、絵本作家、フォトグラファー、俳優、作詞・作曲家など、ジャンルを問わず幅広く活動。『東京タワーオカンとボクと、時々、オトン』は著者初めての長篇で、2006(平成18)年本屋大賞を受賞(「BOOK」データベースより)

母性 湊 かなえ

~「だって、あなたはわたしをこんなにも幸せにしてくれているじゃない」事故か、自殺か、殺人か。”母と娘”をめぐる傑作ミステリー~

story:女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。…遡ること十一年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が交錯し、浮かび上がる真相。これは事故か、それともー。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語。(「BOOK」データベースより)

イヤミス(読んだ後に嫌な気分になるミステリー)というジャンルを世に広めた湊かなえのミステリー。「これが書けたら、作家を辞めてもいい。その思いを込めて書き上げました」と言わしめるくらい心血注いだ作品。今秋、映画公開予定です。

完璧な母親などいないが、それを差し引いても何かがおかしい母娘の関係。あるはずのものがない、何か大切なものが欠けたような違和感。
母娘の2人によって語られる物語はそんな気持ち悪さをずっと引きずったまま話が進んでいく。
真相が徐々に明らかになっていくに従って、違和感の正体も姿を現してくる。思いがけない展開に心がギュッとなります。

気持ちの悪さがありながらもページをめくる手が止まらなる展開は、まさにイヤミス。
歪んだ母性…。毒親、虐待とも違う、愛ゆえの悲劇
女性とは、母親とは何か、全ての女性に読んで欲しい一冊です。

イヤミス【毒親・母・娘・機能不全家族・愛・

湊かなえ(ミナトカナエ)
1973年広島県生まれ。2007年「聖職者」で第二九回小説推理新人賞を受賞。同作を収録したデビュー作『告白』はベストセラーとなり、09年本屋大賞を受賞。12年「望郷、海の星」で第六五回日本推理作家協会賞(短編部門)、16年『ユートピア』で第二九回山本周五郎賞受賞。18年『贖罪』がエドガー賞(「BOOK」データベースより)

父がテーマの小説

父の日(6月第3日曜日)
父に感謝を表す日。アメリカ合衆国のドッド夫人が「母の日」にならって、父親に感謝するために白いバラを贈ったのが始まり。日本では、社団法人日本メンズファッション協会により、身を守る、愛する人の無事を願うといった意味がある「黄色」を使った「父の日黄色いリボンキャンペーン」を展開したことをきっかけに、日本でも黄色いバラや、黄色いリボンが巻かれたプレゼントが父親に贈られるようになった。(『ウィキペディア(Wikipedia)』・コトバンクより)

ビタミンF 重松 清

~このビタミンは心に効きます。疲れた時にどうぞーー。「家族小説」の最高峰。直木賞受賞作!~

story:38歳、いつの間にか「昔」や「若い頃」といった言葉に抵抗感がなくなった。40歳、中学一年生の息子としっくりいかない。妻の入院中、どう過ごせばいいのやら。36歳、「離婚してもいいけど」、妻が最近そう呟いた……。一時の輝きを失い、人生の“中途半端”な時期に差し掛かった人たちに贈るエール。「また、がんばってみるかーー」、心の内で、こっそり呟きたくなる短編七編。直木賞受賞作。

山本周五郎賞、吉川英治文学賞など数々の賞を受賞し、メディア化された作品も多数。話題作を次々と発表している重松清の累計85万部を超えた直木賞受賞作品。2002年にTVドラマ化もされています。

家族小説と言えば、その多くが母親もしくは子供から見た家族を描いたもので、父親に焦点を当てた物語はあまり見かけません。しかし、この作品は父親が主人公
昭和の終わり頃、新人類と言われた世代が父親になり、昔の頑固おやじという程でもないが、まだ一家の大黒柱でいた時代。仕事人間でほとんど家にはおらず家族とはディスコミュニケーション。そのため家族の問題にどう対処して良いかわからず、影が薄い父親はただ自問自答を繰り返すばかり…。

二十世紀末の日本のリアルな家族像を描いたこの短編集。著者は「人の心にビタミンのようにはたらく小説があったっていい。そんな思いを込めて、七つの短いストーリーを紡いでいった。」とのこと。
多くの男性が共感し涙した。ほんの少し元気になれる、心に効くビタミンのような物語です。

ヒューマンドラマ【父親・サラリーマン・中年・家族・夫婦・子供・学校】

重松清(シゲマツキヨシ)
昭和38(1963)年、岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経て、フリーライターに。91年『ビフォア・ラン』で作家デビュー。99年『ナイフ』で第12回山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で第124回直木賞受賞。10年『十字架』で第44回吉川英治文学賞、14年『ゼツメツ少年』で第68回毎日出版文化賞を受賞。著書多数。ルポルタージュ、時評、評論など小説以外のジャンルでの執筆活動も高い評価を受けている。(「BOOK」データベースより)

初夏に読みたい小説

初夏(現在の暦では5月の初旬から6月の初旬のこと)
夏の初めの事。夏を三等分した呼び名であり、概ね立夏(5月5日ころ)から梅雨入りまでの期間に相当します。

西の魔女が死んだ 梨木 香歩

~大好きなおばあちゃんは本物の魔女。生きる力も本物だった。累計260万部を突破したベストセラー小説~

story:中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも…。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。(「BOOK」データベースより)

日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を受賞し、累計260万部を突破した梨木香歩のベストセラー小説

早寝早起き、食事をしっかりとり、よく運動し、規則正しい生活をする」魔女修行と称しておばあちゃんに教えられたその内容をしっかりと守り、魔女になることを夢見るまいの姿は微笑ましく、子供の頃の自分の姿を重ねてしまいます。

自然豊かなおばあちゃん家の都会とは全く異なる時間の流れの中で、しっかりと自分自身と向き合い自己を確立していく、まい。
自然の風景や、美味しそうな料理、優しいおばあちゃん、そんな情景描写に心が和みます。
自然に根付いた衣食住を大切にする丁寧な暮らしは、せわしない都会では持てない時間。
都会から離れ、その時間の中で「自分自身の魂の声」を聴こうとする少女の姿は大人が忘れていた大切なものを思い出させてくれる。

日常を大切にすることは、大切に生きるということ。
街にあふれるどんな健康グッズより自然の力に勝るものはないのだと教えてくれる。
心が疲れた時に立ち寄りたい魔女の家がそこにはありました。

ファンタジー【子供・家族・成長・自然・おばあちゃん・魔女】

梨木香歩(ナシキカホ)
1959年生まれ。『西の魔女が死んだ』で作家デビュー。小説、エッセイ、ネイチャーライティング、絵本など、さまざまな著作がある(「BOOK」データベースより)

雨にまつわる小説

梅雨(5月から7月にかけて来る曇りや雨の多い期間のこと。雨季の一種)
梅雨は、北海道と小笠原諸島を除く日本と近隣諸国の広範囲においてみられる特有の気象現象。梅雨の時期が始まることを梅雨入りや、田植えの時期の目安である入梅(6月11日頃)といい、一般的に夏の始まり(初夏)とされる。また、梅雨明け(出梅)をもって本格的な夏(盛夏)の到来とすることが多い。ほとんどの地域では、気象当局が梅雨入りや梅雨明けの発表を行っている。
また、西日本では秋雨より梅雨の方が雨量が多いが、東日本では逆に秋雨の方が多い。その年の梅雨の時期や雨量によっては気象災害が起きやすくなることもある。(『ウィキペディア(Wikipedia)』より)

ザ・レイン・ストーリーズ 間埜 心響

~雨の日は、いつもの日常に、ほんの少しだけ切ない郷愁を運んでくる~

story:雨宿りのわずかな時間に言葉を交わす男女。雨の日には偏頭痛に悩まされる探偵とその探偵に夫の素行調査を依頼する妻。激しいスコールに襲われた香港島で道ならぬ恋に落ちかける外国人博士と日本人の母親──異なる立場、時間、場所で展開する人々の出会いと別れを、雨というモチーフでゆるく結びつけ、優しく、時にはユーモラスな筆致で描き出した珠玉の短編集。(出版社より)

をテーマにした間埜心響の連作短編集

シトシトと降る雨の音はその時のシチュエーションによって、優しく聞こえたり、切ない音だったりしますね。遠い記憶の中でも、「そういえば、あの時は雨が降っていたなあ」とその時の出来事と共に雨の風景が鮮やかに思い起こされます

この短編集は、ある雨の日の懐かしい記憶、雨が降ってたからこそ起こったささやかな出来事から国際問題に発展しそうなスケールの大きい出来事、そしてホラーテイストのものまでも。思わぬ展開が待ち受ける13の物語です。読みやすい文章とテンポの良いストーリーの短編は隙間時間にもおすすめ。

靄ががった幻想的な景色、雨の後の澄んだ空気と濃い緑、湿気や雨の音。そんな五感で感じた非日常の風景と沢山の「雨の日の思い出」があれば、より「雨」に風情を感じるようになるかも知れません。
雨の季節にこそ読みたい一冊です。

雨にまつわる物語【雨・出会い・恋・頭痛・てるてる坊主】

間埜心響 (マノシオン)
東京都出身。大手金融機関等、多業種に勤務。二度の海外生活を経て、執筆活動を開始。
短編・長編とも、主に異国・異文化における群像劇をテーマに作品作りを続けている。(出版社より)

聖職の碑 新田 次郎

~大正2年8月、伊那駒ケ岳に登山中の生徒たちを突然の嵐が襲った山岳小説の金字塔!~

story:大正2年8月26日、中箕輪尋常高等小学校生徒ら37名が修学旅行で伊那駒ケ岳に向かった。しかし天候が急変、嵐に巻き込まれ11名の死者を出した。信濃教育界の白樺派理想主義教育と実践主義教育との軋轢、そして山の稜線上に立つ碑は、なぜ「慰霊碑」ではなく「遭難記念碑」なのか。悲劇の全体像を真摯に描き出す。(出版社より)

この物語は、中央アルプスの木曽駒ヶ岳における遭難事故を題材とした山岳小説。1978年に映画化されている。

物語の舞台は長野県にあった「中箕輪高等小学校」恒例の修学旅行登山
その年、予算の節約で案内人なしでの登山となった生徒と教員らの一行は、泊まるはずの山小屋が壊れているのを目にし、愕然とした。校長の赤羽は、歩いて別の小屋まで行くかの判断を迫られた。小屋を修復することにした彼らに無慈悲にも暴風雨の雲が近づいてきつつあった…

暴風雨の正体は台風でしたが、当時はその動きを予測することは不可能でした。
思いがけない非常事態に驚き、疲労し、そして訪れた仲間の死。パニックに陥った生徒の様子、次々と起こる悲劇など、そのさまがありありと目に浮かぶような筆致からこの事故の恐ろしさが伝わってきます。

物語の後半は救助に携わった村人や学校側の対応。家族の思い等、物語を通してそれぞれの人間模様が描かれている。また、巻末には多数の遭難者を出した理由と生と死を分けた違や分岐点などの考察もあります。
決してその時代だったからというわけではなく、現代でも起こり得るこの物語。
自然災害が多発している今だからこそ読んでおきたい一冊です。

山岳小説【気象遭難・登山・台風・学校・低体温症・サバイバル・人間ドラマ】

新田次郎(ニッタジロウ)
1912年長野県生まれ。無線電信講習所(現・電気通信大学)卒業後、中央気象台(現・気象庁)に勤務。’56年『強力伝』で直木賞、’74年『武田信玄』ならびに一連の山岳小説により吉川英治文学賞受賞。’80年67歳で他界した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)

結婚にまつわる小説

ジューンブライド(June bride)」6月の花嫁
由来は諸説ありますが、ヨーロッパでは結婚や出産を司る女神「Juno(ジュノ)」が守護する月が6月(June)であることから、「6月に結婚する花嫁は幸せになれる」とされているというのが一般的です。
日本では6月は梅雨の時期であり、挙式をする人は少なかったため、ブライダル業界がこの言い伝えを広めたといわれています。

本日は大安なり 辻村 深月

~結婚は、人生最高のエンターテインメント!結婚式場の一日を舞台に人生の悲喜こもごも~

story:11月22日、大安。県下有数の高級結婚式場では、4組の結婚式が行われることになっていた。だが、プランナーの多香子は、クレーマー新婦の式がつつがなく進むか気が気ではない。白須家の控え室からは大切な物がなくなり、朝から式場をうろつくあやしい男が1人。美人双子姉妹はそれぞれ、何やらたくらみを秘めているようでー。思惑を胸に、華燭の典に臨む彼らの未来は?エンタメ史上最強の結婚式小説!([BOOK」データベースより)

直木賞、山本周五郎賞、本屋大賞、日本推理作家協会賞など数々の賞を受賞している人気作家、辻村深月の小説。

結婚式場を舞台に4組のカップルとウエディングプランナーの1日を描いた群像劇
結婚式でひそかにある計画をしているそれぞれのカップル。彼らの事情や思惑が、式が進むのと並行して明らかになっていく様子がコメディタッチに描かれています。
時系列に視点が切り替わっていくので、各組の結婚式がリアルタイムで起こっているような感覚があり、目まぐるしく変わる展開にクスッとしたりハラハラしたり、その人間模様が面白い。

一見、順調に進んでいる見える結婚式。しかし、水面下では運命のミッションを遂行している人、重大な犯罪を目論む人、命の危機に瀕している人物を助けたいと思っている人。
皆が誰にもバレずになんとかこの状況を乗り越えようとする様子がコミカルであり、スリリングでもある。

この人間模様が1つの大きな事件によって想定外の結末を迎える時、それぞれのカップルの悲喜こもごものエンディングは爽快。エンターエンターテイメント性溢れる一冊です。

ヒューマンドラマ【結婚式・ウエディングプランナー・コミカル・グランドホテル方式】

辻村深月(ツジムラミズキ)
1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で直木三十五賞を受賞。2018年には『かがみの孤城』で本屋大賞第1位に。『レジェンドアニメ!』の本編『ハケンアニメ!』は、2015年に本屋大賞3位に選ばれ、2022年5月には映画公開が予定されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)([BOOK」データベースより)

本日は、お日柄もよく 原田 マハ

~「ごく短い、けれど心にしみ渡る、あのスピーチ」人と人とを結び合う言葉の限りない可能性をハートフルに描いたベストセラー小説~

story:お気楽なOL、二ノ宮こと葉は、密かに片思いしていた幼なじみ・今川厚志の結婚披露宴で、すばらしいスピーチに出会い、思わず感動、涙する。伝説のスピーチライター・久遠久美の祝辞だった。衝撃を受けたこと葉は、久美に弟子入り、「言葉」の修行を始める。成長したこと葉は、父の遺志を継いで初めて衆議院選に立つ、厚志の選挙を手伝うことになるが……!?([BOOK」データベースより)

45万部を突破した原田マハのベストセラー小説。2017年にはテレビドラマ化もされました。

校長先生のお話、会社の上司の話。話の半分も耳に入ってこず、ひたすら早く終わることを願うなんていう経験は誰にでもありますよね。
この物語の主人公、こと葉もその一人。幼馴染の挙式で、眠気を誘われる祝辞の最中にあろうことかスープ皿に激突した冒頭シーンに思わず笑いを誘われ、共感し同情してしまう。

スピーチは長々とつまらない話を聞かされるイメージがあります。しかし、反対に心に残る言葉やフレーズを耳にしたことはありませんか。その言葉に感動した勇気づけられた座右の銘になったという人もいるのではないでしょうか。
この物語は、スピーチライターという職業に出会って奮闘すること葉の姿が描かれていると同時に、CMのキャッチコピーから俳句、結婚式のスピーチ、弔辞、所信表明など心を震わせる言葉やスピーチが数多く登場します。

言葉のプロフェッショナル」が紡ぎ出す魔法の言葉の数々に驚き、感動し、涙する。
言葉の持つ力を知ることが出来、元気を貰える物語です。

ヒューマンドラマ【結婚式・スピーチ・選挙・仕事・恋】

原田マハ(ハラダマハ)
1962年、東京都生まれ。85年、関西学院大学卒業。96年、学士入学した早稲田大学卒業。アートコンサルティング、キュレーターを経て、2005年、『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞し、翌年デビュー。12年、『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞を、17年、『リーチ先生』で第36回新田次郎賞文学賞を、18年、『異邦人』で第6回京都本大賞を受賞([BOOK」データベースより)

誕生日

中島敦の誕生日は5月5日。

李陵・山月記 中島 敦

~日本文学史上に燦然と輝く、天下の名文ここにあり~

story:中島敦は、幼時よりの漢学の教養と広範な読書から得た独自な近代的憂愁を加味して、知識人の宿命、孤独を唱えた作家で、三十四歳で歿した。彼の不幸な作家生活は太平洋戦争のさなかに重なり、疑惑と恐怖に陥った自我は、古伝説や歴史に人間関係の諸相を物語化しつつ、異常な緊張感をもって芸術の高貴性を現出させた。本書は中国の古典に取材した表題作ほか『名人伝』『弟子』を収録。([BOOK」データベースより)
目次:山月記/名人伝/弟子/李陵

文豪・中島敦の代表作。中国古典作品を下地にした短編集

中島敦の『山月記』が発表された際には芥川龍之介の再来とも言われました。
彼の硬質で簡潔な文体は「漢語」と、漢文をもとに日本語の文体に置き換えた「漢文訓読体」を取り込んだ文体が特徴です。

山月記』は唐代伝奇『人虎伝』を素材とした小説で、教科書にも掲載されている知名度の高い作品
弟子』は孔子の門弟・子路の物語で、論語を原典とした小説。
李陵』は、中国の歴史書・二十四史の『漢書』『史記』や、詩文集『文選』など多くの素材を得ている中島敦の遺作で、前漢の時代に活躍した武将・李陵の物語。この作品は彼の文学における最高峰と高く評価されています。

漢文訓読体などの文語体は現在使われている口語体とは異なる趣きがあります。「文体」が違えば受け取る印象も随分変わりますね。難解ながらも日本語の言葉の豊かさを知ることが出来ます。

中国古典を題材にした小説【臆病な自尊心と尊大な羞恥心・漢文調・教訓】

中島敦(ナカジマアツシ)
1909-1942。東京に生れる。東京帝国大学国文科卒。横浜高女で教壇に立つ。宿痾の喘息と闘いながら習作を重ね、1934年、「虎狩」が雑誌の新人特集号の佳作に入る。’41年、南洋庁国語教科書編集書記としてパラオに赴任中「山月記」を収めた『古譚』を刊行、次いで「光と風と夢」が芥川賞候補となった。’42年、南洋庁を辞し、創作に専念しようとしたが、急逝。「弟子」「李陵」等の代表作の多くは死後に発表され、その格調高い芸術性が遅まきながら脚光を浴びた。享年33([BOOK」データベースより)

 

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