きのうの影踏み 辻村 深月

読書日記
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「口裂け女」や「赤い紙、青い紙」などの有名な怪談話がある。

もし口裂け女に「私、綺麗?」と尋ねられて、「きれいじゃない」と答えたら…
トイレで「赤い紙が欲しいか?青い紙が欲しいか?」と尋ねられたらどちらを選んでも…

子供の頃は怖いもの見たさにそういう怪談話が好きだったが、後で怖くなり、必ず後悔したものです。

story

小学生のころにはやった嫌いな人を消せるおまじない、電車の中であの女の子に出会ってから次々と奇妙な現象が始まり…、虫だと思って殺したら虫ではなかった!?幼い息子が繰り返し口にする謎のことば「だまだまマーク」って?横断歩道で事故が続くのはそこにいる女の子の霊が原因?日常に忍び寄る少しの違和感や背筋の凍る恐怖譚から、温かさが残る救済の物語まで、著者の“怖くて好きなもの”を詰め込んだ多彩な魂の怪異集。(「BOOKデータベースより」)

目次
十円参り/手紙の主/丘の上/殺したもの/スイッチ/私の町の占い師/やみあかご/だまだまマーク/マルとバツ/ナマハゲと私/タイムリミット/噂地図/七つのカップ

危険な好奇心

昔「こっくりさん」という遊びが流行った。

五十音を書いた紙の上に十円玉を載せ、その上に指を重ね、「こっくりさん」に知りたいことを尋ねると、十円玉が勝手に動いて答えを教えてくれるというもの。

この遊びは降霊術が基になっているらしく、禁忌がある。このような霊を呼び寄せる遊びは子供の好奇心を満たしてくれるのでとても人気があった。その怖さも知らずに…

ましてや、人を呪う呪的行為は、子供たちの遊びに取り入れられることがあってはならない。

最初の物語は、子供たちの危険な呪術遊びから始まる。

~最初の物語「十円参り」の「試し読み」(KADOKAWAサイト)と「朗読」(ラジオ)のURLを下に貼っています。よろしければお試しください~

子供は、成長するにつれていろいろな言葉を話すようになるが、保育園に通う頃などは、まだ言葉を覚える成長段階だ。

「あら、そんな言葉どこで覚えたの?」
変な言葉を覚えたのでは?と、親心にとても心配になる。

ただ、子供の友達に聞いても、保育園で聞いても、そんな言葉は…

短編集の一つ「だまだまマーク」の一場面だ。

子供の成長を願う気持ちと、不安。
出産してになった著者。母親目線で子を思う気持ちが作品に反映されていて、よりリアルで怖さが増す。

収録作は実話がベースになっている。物語に著者がたびたび登場するということもあり、フィクションと現実の境目がわからなくなる。

産後、実家に帰った時の物語は著者の産後日記そのものだそうで、ほほえましい場面も。
また、辻村深月は2019年ママたちの憧れや目標となる「ベストマザー賞」を受賞している。

感想

私が子供の頃は、稲川淳二さんの怪談話が人気だったし、テレビでも芸能人が心霊スポットに行くという番組がたくさんあり、怖がりの私は人の後ろに隠れながら、恐る恐る見ていました。

そういうものから、時代はホラーど真ん中というよりは「世にも奇妙な物語」のように日常の中にホラー要素や、ファンタジー要素、コメディ要素などを取り入れたものに変わってきた。

これなら怖がりの私でも楽しんでみることが出来たし、そう思う人も多いのではないだろうか?

この作品も同じように、ちょっと怪異な世界を覗き見るような感じで、怖がりの私でも楽しめた。
何よりも、怖い話だけではなく、不思議な体験心温まる話もあり、さまざまな怪異がある。

この短編集は13の怪異からなり5分以内で読めるものも多い。
人の想いが怪異を起こすのではないだろうか?そう思わせる物語の数々。ぜひ、怪異の世界へ足を踏み入れてみてください。

著者:辻村深月(ツジムラミズキ)
1980年生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞してデビュー。『ツナグ』で吉川英治文学新人賞を、『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。『かがみの孤城』が2018年本屋大賞第1位に。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

「十円参り」試し読み👇(KADOKAWAサイト)
【祝!本屋大賞受賞 辻村深月作品試し読み】『きのうの影踏み』 | カドブン (kadobun.jp)

「十円参り」新刊ラジオ:朗読👇(結末まで聴けます(約18分))
新刊ラジオ第1824回 「きのうの影踏み」 – 新刊JP (sinkan.jp)

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