近畿地方のある場所について 背筋

読書日記
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~見つけてくださってありがとうございます。~

こんにちはくまりすです。今回はネットでも話題の『近畿地方のある場所について』をご紹介いたします。

story:

近畿地方のある場所にまつわる怪談を集めるうちに、恐ろしい事実が浮かび上がってきました。(「BOOK」データベースより)

近畿地方のある場所について

少し前の話になりますが、日本全国で起きた未解決事件ばかりを特集したTV番組が放映されていたのをご存じでしょうか?これは事件のあらましを放映することにより、犯罪の恐ろしさを知らしめると共に、視聴者に情報提供を呼び掛ける狙いがありました。

番組内では様々なアプローチで事件を解明しようとする試みがなされ、時には霊能力者を呼んだり、超能力を使った捜査を行ったり。不思議な力があるかどうかは別として、「よくわからない非科学的なもの」に人は惹きつけられる傾向にあると言います。

そういう意味では、都市伝説やオカルトなども同じで、興味をそそられる人も多いのではないでしょうか。
この小説はそんなオカルトに詳しい背筋さんのお話。

著者・背筋さんは東京で主にオカルトジャンルのライターを生業としている方です。
彼はある目的からネットに作品を発表することにしました。

(前略)
急な作者の自分語りに戸惑われる方も多くいらっしゃることでしょう。しかし、私自身の事も含め、これからお伝えする内容はこの作品をお読みいただくにあたり、とても重要な情報です。また、その内容をご理解いただいた上で、可能であればご協力いただきたいことがあるのです。
それが、私がこの作品を発表する動機でもあります。どうか最後までお読みください。
私の友人が消息を絶ってしまいました。その情報を提供していただきたいのです。
(『近畿地方のある場所について』1より)
友人に何があったのでしょうか?
友人の小沢さんは雑誌の編集者でした。同じオカルトジャンルということもあり、著者もいろいろと相談に乗っていたようです。
小沢さんが消息を絶った理由が彼が調べていた怪談話にあると思った著者は、それに関わる資料を集めました。それらは「ある場所」に関連があるように思われました。
この作品にまとめられた文章の多くは「ある場所」に関連しています。
「ある場所」、厳密にいうと「複数地域にまたがったある一帯」は本作品のタイトル通り近畿地方にあります。
その場所は県をまたいでいることもあり、呼称は全て統一されているわけではありません。しかし、地図を広げれば恐らく一筆書きに丸で囲めるであろう一帯です。
(『近畿地方のある場所について』1より)
「ある場所」ってどこでしょうか?とても気になりますね。
この作品は現在に至るまでの経緯、事件や怪談話に関わる資料により構成されています。
「林間学校集団ヒステリー事件の真相」
関西の名門私立R中学校は、2002年に報道された林間学校での集団ヒステリー事件で全国区の知名度となった。生徒をはじめ多くの目撃者が証言したその内容は常識では考えられないものだったのである。(中略)
当時同中学の2年生であり、林間学校で事件を目の当たりにしたというUさんに独占インタビューを敢行した。以下がその全文である。
***
ニュースでは集団ヒステリーだとか散々言われてましたけど、あれは絶対そんなのじゃないです。私も友達も、なんだったら先生も一緒に見てましたから。
もう4年前になるんですね。当時のクラスメイトと集まってもいまだにこの話はタブーみたいになっちゃってます。人が死んじゃってますから。(後略)

(「林間学校集団ヒステリー事件の真相」より)

オカルト雑誌や様々な媒体からこの件に関わりのありそうなものを抜粋して載せているとのことで、ドキュメンタリーのような真実に迫る緊迫感があります。
次から次へと寄せられる証言は、学校の怪談のようなものからゾッとする心霊体験まで。
小沢さんの調査により、バラバラに見えたエピソードはやがて繋がりを見せるのですが…

感想

最近、小説自体に一工夫加えたミステリーが人気を集めているようです。間取り図から恐ろしい真実を暴き出す『変な家』や、小説まるごとトリックになっている『逆転美人』など多彩な構成や仕掛けで、新鮮な読書体験が出来て面白いのだとか。

この『近畿地方のある場所について』もプラスαの仕掛けがあるホラー小説。もともとはweb小説サイト「カクヨム」から人気に火が付き書籍化した経緯があり、著者が人探しのための情報提供を呼び掛けると言う形で話が始まりるのですが、その構図は著者を通して読者が怪談話や心霊現象に関わっていることに他ならないのです。

そのため、怪談話のレポートや、心霊体験をした人へのインタビュー、それらと関わりのありそうなネットへの書き込みなどドキュメンタリー形式で断片的に入ってくる情報がとてもリアルで、現実に起こっているかのような恐怖の疑似体験を味わうことに。

この小説はモキュメンタリー小説ではありますが、作品に出てくるエピソードは、事件や噂話、都市伝説など現実に起こったことやネット上で囁かれている話などをオマージュ的に取り込んでいるようで、元ネタは現実にある話なんだとか。

近畿地方在住の私は、元ネタを探ってやろうと言う気持ちで読み始めたのですが、聞いたことのある話であったり、思い当たる場所があったりして、ドキドキが止まりませんでした。それらは全て陰気で嫌な雰囲気の場所です。心霊スポットとしても噂されており、当てはまるところも多くありました。

しかし、似通った話や場所は全国各地に点在しておりますし、こういう怪談話はどうしても関連付けてしまいがちですよね。と言いつつも、巻末袋とじの「取材資料」は怖くて開封できておりませんが…。

ホラー小説でありながら、霊の謎が紐解かれていくミステリーのような面白さもあって、怖いけどやめられない。呪いのような吸引力で最後まで読み切ってしまいました。
もしかしたら…と思える怖さが読み終わった後も余韻として残っています。

著者:背筋 たすけてください。
情報はありません。

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