太陽のパスタ、豆のスープ 宮下奈都

宮下奈都
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著者は2016年「羊と鋼の森」で本屋大賞を受賞された作家さんです。

著者の作品は初めて読みました。

2010年の作品ですが、2021年の「ナツイチ」でイラストレーターのnoritakeさんの限定カバーになっていて、ほのぼのしたタイトルなのに「結婚式直前に婚約を解消された主人公」という設定に興味がわいたので購入。

しおりとおそろい 😀

story

結婚式直前に突然婚約を解消されてしまった明日羽。失意のどん底にいる彼女に、叔母のロッカさんが提案したのは“ドリフターズ(やりたいこと)・リスト”の作成だった。自分はこれまで悔いなく過ごしてきたか。相手の意見やその場の空気に流されていなかっただろうか。自分の心を見つめ直すことで明日羽は少しずつ成長してゆく。自らの気持ちに正直に生きたいと願う全ての人々におくる感動の物語。

最近、温かい気持ちになれる作品は大好き!

主人公の名前が「あすわ」(明日羽)ってそこからかわいい。

失恋した時(この場合はちょっと違うけれど)って、落ち込んで物事をネガティブに考えがちになる。みんな、それを払拭しようとしてイメージチェンジをしたり、今までやっていなかったことに挑戦したりする。「あすわ」はやりたいことリストに書き出すのだけれども、実際みんなも頭の中にリストを作っているって事だよね。

家に訪ねてきてくれる幼馴染「京」、一歩を踏み出す手伝いをしてくれる姉のような友達のような存在「ロッカさん」。家族や職場の人周りの人たちも、みんなやさしく、それぞれの形でフォローしてくれる。背中を押されて感謝する。行動する。

そういうあたたかいものが全部自分を作っているもの

日常的な何気ない会話で、登場人物の性格を表現しているところや、「わかる」と思わせる心理描写も良い。

「イヤな話は食事のあとがいいか先がいいか?」とやさしさ?で聞いてくれる婚約者・・・(意見が分かれるところだけど、私としては“イヤな話”っていう単語が出た時点で、もうすでに落ち込むよ。)

家事をしている時、元婚約者がつぶやいた何気ない一言を思い出す。その時は深くは考えなかったけれど、彼はその時の「あすわ」の返答が彼にはしっくりこなかったのかなと振り返る。そういうことが重なって、きっとこの彼氏に婚約破棄の決断をさせたんだろうな、と後になって思う。(最近見た松たか子主演のドラマ「カルテット」でレモンを先にかけるかどうか、かける前に「かけるか聞くか」みたいなのがあって、それを思い出した。)ちょっとした事なのに、難しいよね。「そこ気にする?」っていうの。

後、一人暮らしを始めて実家から帰ってきた時、ちょっとしか住んでないのに、実家より帰ってきた感覚がするとか、初めて一人暮らしをしたときに感じる感覚。「わかる!」

その「わかる!」がこの物語には沢山ある。

当たり前の日常、自分に寄り添ってくれる人達。心が「ほっこり」する。そして、その「ほっこり」を今度は周りの人たちにも届けたい。そう思わせる一冊。

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