8月に読んだ本をまとめました。
夏のフェアーと新刊を中心に読みました。
基本、人気作家さん、話題の本を中心に読んでいます。
本を普段あまり読まない、全く読まない、読む時間があまりない方でも選びやすいように、読みやすさを★で表示しています。参考にしてみてください。
★★★★★ とても読みやすい
★★★★ 読みやすい
★★★ 普通に読める
★★ 少し難しい
★ 難しい
書店に行ってもどの本を手にとったら良いか迷ったら、是非参考にしてくださいね。
宝島 真藤 順丈
story
米軍基地を襲撃した夜、故郷いちばんの英雄が消えた。英雄の帰還を待ち望みながら沖縄を取り戻すため立ち上がる、グスク、ヤマコ、レイ。長じて警官となり、教師となり、テロリストとなった幼馴染たちは、米軍統治下の時代のうねりに抗い、したたかに生き抜こうとする。直木賞始め文学賞三冠達成の傑作!(「BOOK」データベースより)
構想7年、執筆に3年をかけて真藤順丈が沖縄の歴史に挑んだ直木賞受賞作。
戦果アギヤーという米軍基地から物資を盗んでいた人々を通して戦後沖縄の歴史を描いた大河ドラマ。教科書や歴史書からはこぼれ落ちてしまった真実を伝えたくて、著者が腹を括って書いたとのこと。「ジャーナリズムとは違う伝える力が小説にはある」との著者の想いがある。
上下巻ボリュームがあるので★は4つ。
沖縄の歴史を知る一方で、主人公たちの叙事詩にハラハラさせられっぱなしで、面白かった。
あめつちのうた 朝倉 宏景
story
運動神経ゼロの雨宮大地は、高校卒業後、野球の聖地・甲子園で働くことに。グラウンド整備を請け負う職人集団「阪神園芸」の新人として憧れの地を踏むも、仕事は失敗続き。落ち込む大地だったが、夢に向かってもがく同世代の仲間たちと出会い、自分の弱さと向き合うことを決意しー。涙の青春×お仕事小説!(「BOOK」データベースより)
甲子園球場のグランドキーパー、阪神園芸で働く人たちの仕事内容が詳しく書かれており、面白い。何気なく見ている試合の裏で、プロフェッショナルな仕事をこなしている人たちがいるからこそ試合が成り立っているのだと知った。とても読みやすい文章で、登場人物たちの若者らしい悩みや奮闘が爽やかに描かれている。タイガースファン、高校野球ファンだけでなく、学生さんや今の仕事に疑問を持っている人にも読んで欲しい。
火のないところに煙は 芦沢 央
story
「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」突然の依頼に、作家の“私”は驚愕する。心に封印し続けた悲劇は、まさにその地で起こったのだ。私は迷いつつも、真実を求めて執筆するが…。評判の占い師、悪夢が憑く家、鏡に映る見知らぬ子。怪異が怪異を呼びながら、謎と恐怖が絡み合い、直視できない真相へとひた走る。読み終えたとき、それはもはや他人事ではない。ミステリと実話怪談の奇跡的融合。(「BOOK」データベースより)
新ミステリーの女王と称される今注目の作家のホラー短編集。
モキュメンタリー仕立てのホラーはリアリティがありとても怖い。
ミステリーを核にしたホラーなので、怖さもありながら面白さもあり、読む手が止まらなかった。ホラー初心者にもおすすめ。
きのうの影踏み 辻村 深月
story
学生のころにはやった嫌いな人を消せるおまじない、電車の中であの女の子に出会ってから次々と奇妙な現象が始まり…、虫だと思って殺したら虫ではなかった!?幼い息子が繰り返し口にする謎のことば「だまだまマーク」って?横断歩道で事故が続くのはそこにいる女の子の霊が原因?日常に忍び寄る少しの違和感や背筋の凍る恐怖譚から、温かさが残る救済の物語まで、著者の“怖くて好きなもの”を詰め込んだ多彩な魂の怪異集。(「BOOK」データベースより)
直木賞・本屋大賞受賞作家辻村深月の短編ホラー小説。派手な怖さはなく、ささやかな怪異の話から哀切な話、心がじんわり来るものまで様々な物語が楽しめます。13章からなり、5分で読める物語も多いので、時間のない人にもおすすめ。
ひと 小野寺 史宜
story
女手ひとつで僕を東京の私大に進ませてくれた母が急死した。僕、柏木聖輔は二十歳の秋、たった独りになった。大学は中退を選び、就職先のあてもない。そんなある日、空腹に負けて吸い寄せられた砂町銀座商店街の惣菜屋で、最後に残った五十円のコロッケを見知らぬお婆さんに譲ったことから、不思議な縁が生まれていく。本屋大賞から生まれたベストセラー、待望の文庫化。(「BOOK」データベースより)
本屋大賞2位受賞の心温まる青春小説。
誰にでも孤独を感じる瞬間がある。孤独になった時どうすればよいのだろうか?
人との触れ合いの中で自分を探す若者。実直な性格の主人公を応援したくなりました。周りの人のやさしさに気づき、ほっこりする読後感。
残像に口紅を 筒井 康隆
story
「あ」が使えなくなると、「愛」も「あなた」も消えてしまった。世界からひとつ、またひとつと、ことばが消えてゆく。愛するものを失うことは、とても哀しい…。言語が消滅するなかで、執筆し、飲食し、講演し、交情する小説家を描き、その後の著者自身の断筆状況を予感させる、究極の実験的長篇小説。(「BOOK」データベースより)
無料動画アプリの1人のユーザーから広まり、書店や通販サイトでランクインした話題の1冊。
使える言葉が減っていくという面白い設定が多くの若者の心をとらえたよう。
言葉を置き換えるたびにどんどん難しい表現になっていって、読み方や意味など調べながら読んだ。使える言葉が減っていってもそれを感じさせない著者の表現力には脱帽。
レプリカたちの夜 一條 次郎
story
動物レプリカ工場に勤める往本がシロクマを目撃したのは、夜中の十二時すぎだった。絶滅したはずの本物か、産業スパイか。「シロクマを殺せ」と工場長に命じられた往本は、混沌と不条理の世界に迷い込む。卓越したユーモアと圧倒的筆力で描き出すデヴィッド・リンチ的世界観。選考会を騒然とさせた新潮ミステリー大賞受賞作。「わかりませんよ。何があってもおかしくはない世の中ですから」。
選考会を騒然とさせた新潮ミステリー大賞受賞作。選考委員の伊坂幸太郎推薦。
ミステリーだが哲学的な思想が所々に散りばめられ、カフカの「変身」やカミュの「ペスト」などの不条理文学を連想させる。
軽快でユーモラスな文章は、不条理の世界を面白く体験できた。