読書ブログ2022年12月に読んだ本

読書日記月別
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2022年12月に読んだ本をまとめました。
基本、人気作家さん、話題の本を中心に読んでいます。

今回から私の満足度、おススメ度でをつけています。

★★★★★ とても良かった!!人に薦めたい!これを読まないなんて、人生損している!

★★★★  とても良かった!充実した時間をありがとう。是非、読んでみてください!!

★★★   読んで良かった。面白かったです。読んで損はない!

★★    少し難しかったかな?あなたの意見を聞かせてください。

     う~ん、今の私には難解だった。また、再挑戦します。

あくまで私の基準です。本選びの参考になればうれしいです。

ナミヤ雑貨店の奇蹟 東野 圭吾

★★★★★

story:悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い家。そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。廃業しているはずの店内に、突然シャッターの郵便口から悩み相談の手紙が落ちてきた。時空を超えて過去から投函されたのか?3人は戸惑いながらも当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書くが…。次第に明らかになる雑貨店の秘密と、ある児童養護施設との関係。悩める人々を救ってきた雑貨店は、最後に再び奇蹟を起こせるか!?(「BOOK」データーベースより)

探偵ガリレオシリーズや加賀恭一郎シリーズでもおなじみ、日本を代表する作家・東野圭吾のミステリーファンタジー。第7回中央公論文芸賞受賞。この作品は舞台、ミュージカル、映画化と様々なコンテンツで人気。映画は第41回日本アカデミー賞 優秀作品賞を受賞。また、香港・中国・日本合作で中国版の映画も2018年に公開されました。

5つのエピソードが連作短編集のようにつながっているこの作品は、時空を超える手紙がもたらす奇跡を描いたファンタジーとミステリーが融合した物語。このタイムトラベル・ファンタジーのような設定はサスペンス風のミステリーが多い東野圭吾作品の中でも珍しい一冊です。

時空を超える手紙は人生の岐路に立った5人の悩みを相談するもの。解決策が思い浮かばないようなものだったり、どちらとも決めかねる難しい質問だったり。人間模様を交えながらのそれぞれの手紙の回答にうなります。
彼らの選択は正しかったのか。また、悪事を働いた3人はどうなってしまうのか。張り巡らされた伏線が繋がり合う時、心が震える結末が待っている。

あの時の回答は、あなたの人生にとって、役に立ったでしょうかー。
暖かい気持ちになれる感動作。学生さんから大人まで幅広い層にお勧めです。

東野圭吾(ヒガシノケイゴ)
1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川文庫)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP文芸文庫)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』(講談社文庫)で第48回吉川英治文学賞、2019年、出版文化への貢献度の高さで第1回野間出版文化賞を受賞(「BOOK」データーベースより)

カインは言わなかった 芦沢 央

★★★★

story:「世界の誉田」と崇められるカリスマ芸術監督が率いるダンスカンパニー。その新作公演直前に、主役の藤谷誠が姿を消した。すべてを舞台に捧げ、壮絶な指導に耐えてきた男に一体何が?誠には、美しい画家の弟・豪がいた。芸術の神に魅入られた人間と、なぶられ続けてきた魂の叫び。哀しき業に迫る慟哭ミステリー。(「BOOK」データーベースより)

「イヤミスの新女王」、「新・ミステリの女王」との呼び声も高い芦沢央の長編小説。

ダンスや絵画、厳しい芸術の世界で渦巻く感情と人間模様を描いたミステリー。
物語は、最初から明確な事件が起きるというわけではなく、「もしかしたら何か良くないことが起きているのでは」と匂わせた状態のまま進んでいく。交互に入れ替わる視点は、登場人物それぞれの心情が際立ち、ミステリーのスリルや人間ドラマの悲哀がより胸に伝わります。

また、喜怒哀楽の中でも狂気や欲望、嫉妬や執着といった負の感情に比重を置いており、イヤミス寄りのミステリー。ドロドロした心理描写に嫌な汗をかきながらも、頂点を目指す人間の孤高の輝きに言葉を失うでしょう。

歪んだ世界がクセになるミステリー。
天才たちだけの景色を見ることが出来る一冊です。

芦沢央(アシザワヨウ)
1984年東京都生まれ。2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。17年『許されようとは思いません』が第38回吉川英治文学新人賞候補。18年、『ただ、運が悪かっただけ』、19年「埋め合わせ」がそれぞれ日本推理作家協会賞短編部門候補に。18年『火のないところに煙は』で第7回静岡書店大賞受賞、19年本屋大賞、第32回山本周五郎賞ノミネート。21年『汚れた手をそこで拭かない』が第164回直木賞候補に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データーベースより)

象の旅 ジョゼ・サラマーゴ

★★★★★

story:象は、大勢に拍手され、見物され、あっという間に忘れさられるんです。それが人生というものです。ノーベル賞作家サラマーゴが最晩年に遺した、史実に基づく愛と皮肉なユーモアに満ちた傑作。(「BOOK」データーベースより)

ポルトガル語圏唯一のノーベル文学賞受賞作家、ジョゼ・サラマーゴ晩年の作品。

十六世紀、大航海時代のポルトガル国王が、外交の為にインドから連れてきた象を贈ろうと思いつきました。勿論、象ですから運ぶわけにもいかず、その足で歩いて行かなければいけません。かくして、象と象使いのポルトガルからオーストリアへの壮大な旅が始まったのです。

ポーランド、オーストリアの兵士に守られながらの道中、初めて象を見る人々、象を利用しようとする人達、そしてポルトガル国王ジョアン三世とオーストリア大公マクシミリアン二世。人間の本質を愛情と時には揶揄を込めて描かれています。時折、語り手とてして登場する著者のユーモアたっぷりの皮肉や、愛嬌ある言い訳も面白い。

また、ポルトガルの立ち位置や各国との微妙な関係も垣間見えます。しかし、大筋は波乱万丈の旅物語であり、歴史を知らずとも楽しめます。

カギ括弧や段落がない文章のため、地の文とセリフの境目がはっきりしておらず、また誰のセリフか分かりにくいところもありますが、慣れてくると気になりません。
史実でありながらナンセンス文学の要素も?サラマーゴの人生観が優しくユーモアたっぷりに描かれています。

サラマーゴ,ジョゼ(Saramago,Jos´e)
1922年ポルトガル生まれ。現代ヨーロッパを代表する作家。95年『白の闇』を発表し、カモンイス賞受賞。98年ノーベル文学賞受賞。2010年没(「BOOK」データーベースより)

5分後に意外な結末 ベスト・セレクション 桃戸 ハル

★★★★★

story:累計240万部の突破の超人気シリーズの粋を集めたベスト集。恐怖、感動、笑い、涙……そして最後にやってくるだまされる快感!たった5分の中で起こるドラマが、日常をリフレッシュさせる。ティーンから大人まで、どこから読んでも楽しめるショート・ショート集。朝読にも最適。親子で楽しめるアンソロジー。書下ろしを含む22編を収録。(出版社より)

Gakkenから発行されている人気シリーズ「5分後に意外な結末」の中から抜粋編集し、書きおろしを加えたベスト集です。

どんでん返しの結末にあっと驚くショート・ショート集。とても読みやすく、小中学生からも大きな支持を得ています。Gakkenの児童文学シリーズではありますが、大人も十分楽しめるストーリー。忙しい人の隙間時間にもぴったりです。

各物語は日常の中のちょっとしたサスペンスや、空想的な世界など多彩な設定で飽きさせない。背筋がヒヤッとしたり、思わずほろりとしたり、数ページのショートストーリなのにしっかり騙されて感動できるドラマが22作品。

読書の習慣がない方や、子供の朝の読書にもおすすめ。1日5分の読書習慣に。

夢をまことに 山本 兼一

★★★★

story:近江国友村の鉄炮鍛冶である一貫斎は村の訴訟に巻き込まれ江戸に出ることになった。太平の世に鉄炮の注文は減り、村は景気が悪く寂れた状況にあった。江戸に出た一貫斎は持ち前の好奇心で交友を広げ、オランダ渡りの新式鉄炮の修繕を依頼される。見事に鉄炮を修繕した一貫斎は独自の工夫によって改良型まで作ってしまう。(「BOOK」データベースより)

直木賞作家・山本兼一最後の傑作長編小説。

日本髄一の鉄砲職人集団。彼らが暮らす近江国国友村・幕府の御用鉄砲鍛冶職の家に生まれた国友一貫斎の物語。
日本のダ・ヴィンチ、東洋のエジソンなどと称される一貫斎は、国内で初めての反射望遠鏡や空気銃(気砲)など科学技術史を塗り替えるような画期的な発明をしたことで知られています。また、自作の望遠鏡を用いて天体観測を行い、日本の天文学者のさきがけの一人とも言われています。

この物語は一貫斎の転機となった「彦根事件」から始まり、照明器具や筆ペンなど身近なものや、近年の技術に匹敵する高度な反射望遠鏡など様々な発明に尽力した彼の生涯が描かれています。
飽くなき探求心、優れた技術と強い責任感、西洋の文化に触発された日本職人のプライドや一貫斎の人柄、生き生きと夢を追う姿が目に浮かびます。

夢に向かって努力を重ねる職人の姿が胸を打つ、モノづくりの楽しさを味わえる一冊。

山本兼一(ヤマモトケンイチ)
1956年、京都市生まれ。同志社大学文学部美学及び芸術学専攻卒業。99年「弾正の鷹」で小説NON短編時代小説賞佳作。2004年『火天の城』で第11回松本清張賞を受賞。09年『利休にたずねよ』で第140回直木賞受賞。14年2月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データーベースより)

タンノイのエジンバラ 長嶋 有

★★★★

story:人が一日に八時間働くというのが信じられない。八という数字はどこからきたのだろうか。なんだか、三時間でいいんじゃないかもう……(「夜のあぐら」より)。なぜか隣室の小学生の娘を預かることになった失業中の俺のちぐはぐな一夜を描く表題作。真夜中に実家の金庫を盗むはめになった三姉妹を描く「夜のあぐら」。ロードムービーの味わいの「バルセロナの印象」。そして20代終わりの恋をめぐる「三十歳」。リアルでクールな、芥川賞受賞後初の作品。(出版社より)

芥川賞、谷崎潤一郎賞、大江健三郎賞など数々の賞を受賞している純文学作家・長嶋有の短篇集。

歴史に名を遺した偉人、どんな難問でも解決する探偵、空前絶後の出来事。小説の題材として取り上げられるのは、個性的な人物像や、人生において多くの人が体験し得ないであろう出来事が一般的です。しかし、この短編集に描かれているのは、ごく普通の人の何気ない日常の出来事。

失業中の男性や、ピアノ講師を辞めパチンコ屋で働いている女性など、どの主人公も順風満帆とは言えない人生にちょっと疲れ気味。彼らが感じるもやもや感であったり、ぬるま湯に浸かっているような居心地の悪さは、誰もが感じたことのあるもの。投げやりになるわけでもなく、あきらめとも違うけだるさが漂ってくる彼らの描写は、大人の悲哀と共に人生の賛歌が溢れています。

人は見ているようで意外と見ていない、知っていつもりで実は分かっていない。
人生のわびさびを感じられる、懐が深い作品です。

長嶋有(ナガシマユウ)
1972年生まれ。2001年「サイドカーに犬」で第92回文學界新人賞、翌年「猛スピードで母は」で第126回芥川賞、’07年の『夕子ちゃんの近道』で第1回大江健三郎賞を受賞し、’08年には『ジャージの二人』が映画化された。’16年『三の隣は五号室』で第52回谷崎潤一郎賞受賞(「BOOK」データーベースより)

iの悲劇 米澤 穂信

★★★★

story:無人になって6年が過ぎた山間の集落・蓑石を再生させるプロジェクトが市長の肝いりで始動した。市役所の「甦り課」で移住者たちの支援を担当することになった万願寺だが、課長の西野も新人の観山もやる気なし。しかも、集まった住民たちは、次々とトラブルに見舞われ、一人また一人と蓑石を去って行き…。(「BOOK」データーベースより)

直木賞作家・米澤穂信の社会派ミステリー小説。
人口減少に伴い全国各地で深刻化する過疎地域の問題。物語はそんな田舎に人を呼び込もうと奮闘するIターンプロジェクト担当公務員が体験する悲喜劇。

新しい土地で一からのスタートする暮らし。ご近所は全く面識もない人々。このシチュエーションで何もトラブルが起きないわけがない。病気の療養、老後の生活、新しい事業を起こすため、田舎の暮らしに求めるものは様々で、諍いが起きる度に駆り出される主人公の万願寺が気の毒であり、愉快でもある。

しかし、中には原因不明の出来事や首をかしげるような不思議なトラブルも。これも仕事の一環とばかりに思考を巡らし、謎を解きに奮闘する万願寺。公務員らしく真面目に尚且つロジカルに解決していく過程が面白い。分かりそうで分からない難問に歯がゆさを感じ、盲点をつく仕掛けに思わず「なるほど」と手をうってしまうことでしょう。

謎解きの合間に過疎地のリアルな現状も見えるが、万願寺の仕事ぶりや人に対する暖かさにホロリとさせられる。さらりと読みやすいミステリーです。

米澤穂信(ヨネザワホノブ)
1978年、岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー。11年、『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞、14年、『満願』で第27回山本周五郎賞、21年、『黒牢城』で第12回山田風太郎賞、22年、第166回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

クララとお日さま カズオ・イシグロ

★★★★

story:人工知能を搭載したロボットのクララは、病弱の少女ジョジーと出会い、やがて二人は友情を育んでゆく。生きることの意味を問う感動作。愛とは、知性とは、家族とは?ノーベル文学賞受賞第一作、カズオ・イシグロ最新長篇。(「BOOK」データーベースより)

ノーベル賞作家カズオ・イシグロの長編小説。

人間の子供の友達相手としてAI(=AF)が売られている世界はまさに近未来のSF小説と言っても良いかも知れない。人工知能を搭載したロボットが語り手となって、彼らから見た世界と人間の姿が描かれています。AFの中でも特別に頭の良いクララがジョージという少女に運命の出会い共に暮らしてく中で、人間の複雑な感情を知り、人工知能のはずのクララにも人間らしさが現れていくというストーリー。

素直に読めば感動の物語ですが、そこはカズオ・イシグロ。見方を変えると全く違った意味に取ることもできる仕掛けも。読者がこのAFを一人の人格を持った少女と捉えるか、人間に限りなく近い感情を持ったロボットと見るかで受ける印象は180度違って見えてくる。もし仮に、近い将来クララのような人工知能を持ったロボットが出来たとして、果たして一人の人間として接することが出来るのでしょうか。そして、彼らの目に人はどのように映るのでしょうか。

驚きのラストは読者によって明暗が分かれるかも知れません。
それは著者からの問いかけのようにも感じられます。クララの人生はどのように映りましたか?

イシグロ,カズオ(Ishiguro,Kazuo)
1954年11月8日長崎生まれ。1960年、5歳のとき、海洋学者の父親の仕事の関係でイギリスに渡り、以降、日本とイギリスのふたつの文化を背景に育つ。その後英国籍を取得した。ケント大学で英文学を、イーストアングリア大学大学院で創作を学ぶ。1982年の長篇デビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年発表の『浮世の画家』でウィットブレッド賞を受賞した。1989年発表の第三長篇『日の名残り』では、イギリス文学の最高峰ブッカー賞に輝いている。2017年にはノーベル文学賞を受賞。2018年に日本の旭日重光章を受章し、2019年には英王室よりナイトの爵位を授与された(「BOOK」データーベースより)
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