読書ブログ2023年3月4月に読んだ本

読書日記月別
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302023年3月・4月に読んだ本をまとめました。
基本、人気作家さん、話題の本を中心に読んでいます。

今回から私の満足度、おススメ度でをつけています。

★★★★★ とても良かった!!人に薦めたい!これを読まないなんて、人生損している!

★★★★  とても良かった!充実した時間をありがとう。是非、読んでみてください!!

★★★   読んで良かった。面白かったです。読んで損はない!

★★    少し難しかったかな?あなたの意見を聞かせてください。

     う~ん、今の私には難解だった。また、再挑戦します。

あくまで私の基準です。本選びの参考になればうれしいです。

推し、燃ゆ 宇佐見 りん

★★★★★

三島由紀夫賞を最年少で受賞した宇佐美りんの芥川賞受賞作品。

story:推しが炎上した。ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。そんなある日、推しがファンを殴った。第164回芥川龍之介賞受賞。(「BOOK」データーベースより)

〈病めるときも健やかなるときも推しを推す〉
「推し」活に没頭する少女・あかりの姿や心情を描いた物語。
何をするにもうまく行かないあかり。辛い現実から逃れるかのように頭の中は「推し」のことで一杯。「推し」が炎上したことをきっかけに、見えてきたものと変化していくもの。短縮化された若者言葉の中に美しい情景描写が入り混じるの文章が特徴的で、少女の不安定さや違和感がより生々しく感じられます。

「推し」が全ての彼女はどうなってしまうのか?
「推し」がいる人は共感できる部分も多いのではないでしょか。SNS時代の若者のリアルを感じられる物語です。

もう少し詳しい本の紹介、感想はコチラ読書ブログ『推し、燃ゆ』宇佐見りん
宇佐見りん(ウサミリン)
1999年生まれ、神奈川県出身。2019年『かか』で第五六回文藝賞を受賞しデビュー。同作は第三三回三島由紀夫賞を受賞した。21年、第二作『推し、燃ゆ』で第一六四回芥川龍之介賞を受賞。五〇万部を超えるベストセラーとなる(「BOOK」データーベースより)

不思議カフェ NEKOMIMI 村山 早紀

★★★★

『コンビニたそがれ堂』シリーズや『桜風堂ものがたり』などの人気作品で有名な村山早紀の新刊。また、著者は毎日童話新人賞最優秀賞、椋鳩十児童文学賞を受賞しており、児童文学作家としても活躍中です。

story:毎日こつこつと働き、余暇には本を読み、紅茶を淹れて音楽を聴く。つつましく生きてきた律子に人生の終盤、ある奇跡が訪れる。世界の片隅で起こる小さな魔法の物語。(「BOOK」データベースより)

人生は大小さまざまな壁の連続。落ち込んだり感情のコントロールが大変な時もありますね。しかし、自然と気持ちと現実の帳尻を合わせる術が身に付いてくるものです。料理や人との触れ合いを通して、癒されたり幸せな気持ちになったり。
この物語は、そんなささやかな幸せを大切したくなるちょっと不思議な物語。

自然豊かな場所に佇むキッチンカーのお店。大切なお客様をもてなすのための心づくしの料理。そんな女性の憧れが詰め込まれたお店を作った律子。幸せ上手な彼女の魔法によって癒されていく人々の姿と愛らしい猫たちにほっこりします。

美味しそうな料理と魔法と少しの切なさと。まるで大人の童話のよう。癒される物語です。
扉・中扉などあちこちにファンタスティックで可愛いイラストも。(イラストレーター:くらはしれい)

村山早紀(ムラヤマサキ)
1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で第15回毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)

すべて真夜中の恋人たち 川上 未映子

★★★★★

数々の文学賞を受賞し、海外でも高く評価されている芥川賞作家・川上未映子の長編恋愛小説。アメリカの文学賞「全米批評家協会賞」に日本人初のノミネート。

story:「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであったー。究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。(「BOOK」データーベースより)

受け身な性格と経験から人づきあいが苦手になった冬子。この物語は厭世的ともとれる冬子の繊細で幻想的な恋のストーリー。オウム返しに受け答えする彼女の気詰まりな様子、周りの人間や社会に対して無知で鈍い描写、活力や生命力があまり感じられない彼女の毎日に突然訪れた運命の出会いがロマンティック。

また、冬子と三束さんとのたどたどしくもどかしい愛とかけがえのない時間や、自身の気持ちを受け入れることさえ躊躇する美しく純粋な恋心など。彼女の脆い心の機微そのものを表したかのような透明感のある文章が魅力的です。

恋と友情と仕事。ゆっくりと変わっていく冬子の姿。
夜の淡い光のような儚い時間と、心に浸透させるような冬子のつぶやきが心に残る。美しい恋愛小説です。

川上未映子(カワカミミエコ)
大阪府生まれ。2008年『乳と卵』で芥川龍之介賞、09年、詩集『先端で、さすわさされるわそらええわ』で中原中也賞、10年『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞および紫式部文学賞、13年、詩集『水瓶』で高見順賞、同年『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞、16年『あこがれ』で渡辺淳一文学賞、19年『夏物語』で毎日出版文化賞を受賞。『夏物語』は40カ国以上で刊行が進み、『ヘヴン』の英訳は22年国際ブッカー賞の最終候補に選出された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データーベースより)

ラブカは静かに弓を持つ 安壇 美緒

★★★★★

2023年本屋大賞2位の作品。

story:少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇。以来、深海の悪夢に苦しみながら生きてきた橘樹は勤務先の全日本音楽著作権連盟の上司・塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠を掴むこと。身分を偽り、チェロ講師・浅葉桜太郎のもとに通い始めるが…少年時代のトラウマを抱える潜入調査員の孤独な闘いが今、始まる。『金木犀とメテオラ』で注目の新鋭が想像を超えた感動へと読者を誘う、心震える“スパイ×音楽”小説!(「BOOK」データーベースより)

ありきたりの毎日がある日、非日常のミッションに。ごく普通の青年・橘樹に与えられた仕事は音楽教室への潜入捜査でした。
実際にあった著作権裁判をもとにしたこのスパイ小説は、ハラハラしながらも人の温かさが感じられる物語。社会正義と人情の間で揺れ動く主人公の心の内や、メンタルヘルスの問題など人間の内面がしっかりと描かれています。

また、物語を通じて音楽のヒーリング効果を感じられたり、実際に楽器を演奏してみたくなるような心動かされる印象深いシーンも。
そんな優しい空気が流れる中、突然放たれる一言や、嫌な偶然に心臓が止まりそうになるのがスパイ小説の醍醐味。心が温かくなったり冷たくなったりする展開の後ろから聞こえてくるチェロの静かで余韻のある音色がさらに不安を煽り、良い結末を願わずにはいられないでしょう。

人の優しさと音楽に癒される。切なく優しい物語です。

もう少し詳しい本の紹介、感想はコチラ読書ブログ『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒
安壇美緒(アダンミオ)
1986年北海道生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。2017年、『天龍院亜希子の日記』で第30回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データーベースより)

ゴリラ裁判の日 須藤 古都離

★★★★★

アメリカで激しい議論をまきおこした「ハランベ事件」をモチーフとして生み出された感動巨編。第64回メフィスト賞満場一致の受賞作。

story:ローズはとても賢く、特別なゴリラだ。言葉を理解し人間と「会話」ができる。やがて「声」も手に入れた。これからもっと楽しい生活が始まる。そんな時だった。人間の子供を助けるために、という理由で、夫ゴリラが、突然、射殺される。許せないー。そしてローズは、人間に戦いを挑む。力ではなく、知恵と勇気を武器に。法廷で。第64回メフィスト賞満場一致の受賞作。(「BOOK」データベースより)

言葉を通じてコミュニケーションをとり、複雑な社会を形成することができる。人類が特別な存在になった理由は何と言っても高度な言語能力。この言語能力の有無は私たち人間と姿かたちが似ている類人猿との境界線でもあります。しかし、もし仮に類人猿がその境界線を飛び越えてきたらどうでしょうか?この物語は、人間のように言葉を操るゴリラ・ローズが人間に対して裁判を起こしたお話。

ローズは手話を使って人間とコミュニケーションを取れる特別なゴリラ。感情豊かなローズの視点で描かれるこの物語は、ゴリラの生態を知ることが出来るばかりか、人間を客観的に観察する面白さもあります。

また、この物語に描かれている裁判はアメリカの動物園で実際に起きた事件をもとにしており、その時の世間の反応を再現している場面も多々盛り込まれています。
人間のあるべき姿を考えさせられる物語です。

もう少し詳しい本の紹介、感想はコチラ読書ブログ『ゴリラ裁判の日』須藤古都離
須藤古都離(スドウコトリ)
1987年、神奈川県生まれ。青山学院大学卒業。2022年「ゴリラ裁判の日」で第64回メフィスト賞受賞。本作が初めての単行本となる。「メフィスト」2022 SUMMER VOL.4に、 短編「どうせ殺すなら、歌が終わってからにして」が掲載されている。2023年に新作「無限の月」発売予定。(出版社HPより)

文豪、社長になる 門井 慶喜

★★★★

1923年、文豪・菊池寛の手によって文藝春秋は産声をあげました。あれから今年で100周年。
直木賞作家・門井慶喜が描く社長・菊池寛の物語。文藝春秋「創立100周年記念作品」。

story:芥川龍之介や直木三十五などの協力を得、菊池寛が発行した「文藝春秋」創刊号はたちまち完売する。時代が求めた雑誌は部数を伸ばし、会社も順風満帆の成長を遂げていく。しかし次第に、社業や寛自身にも暗い影が。芥川、直木という親友たちとの早すぎる死別、社員の裏切り、戦争協力による公職追放、会社解散の危機…。激動の時代に翻弄されながらも、文豪、社長として、波乱に満ちた生涯を送った寛が、最後まで決して見失わなかったものとはー。(「BOOK」データーベースより)

芥川龍之介の親友であり、文藝春秋を創った男、菊池寛。彼の人物像から交友、そして小説家と社長の2つの顔など、菊池寛の人生を丸裸にした物語です。

釣った魚をそのままポケットに入たり、お金を裸のまま持ち歩いたり。大雑把でせっかちな性格が現れているエピソードを始め、根っからの文人気質をうかがわせる文学に対するこだわりや、趣味に精を出す姿など、菊池寛の人となりが痛快に描かれています。世話好きで義理人情に厚い菊池寛の周りには自然と人が集まり、彼を取り巻く人間模様も華やかで奇想天外。会社を興してからのドラマチックな展開は日本史の明暗と重なる部分もあり、興味深く読むことができます。

また、芥川竜之介や直木三十五、横光利一、川端康成などの文豪も登場。文豪らしい個性を発揮し物語に花を添えている。

「楽しいんだ。菊池さんと仕事してると。それだけっ」
古き良き日本人の姿がそこにはありました。

門井慶喜(カドイヨシノブ)
1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年、オール讀物推理小説新人賞を「キッドナッパーズ」で受賞しデビュー。16年に『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。18年に『銀河鉄道の父』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データーベースより)

恋とそれとあと全部 住野 よる

★★★★★

デビュー作『君の膵臓をたべたい』で 本屋大賞2位、実写・アニメの映画化など話題をさらった住野よるの新刊。

story:片想い男子とちょっと気にしすぎな女子。二人は友達だけど、違う生き物。一緒に過ごす、夏の特別な四日間。めえめえ(瀬戸洋平)は下宿仲間でクラスメイトの女子サブレ(鳩代司)に片想いをしている。告白もしていないし、夏休みでしばらく会えないと思っていた。そのサブレが目の前にいる。サブレは夏休み中に遠方にあるじいちゃんの家に行くのだが、それはある“不謹慎な”目的のためだった。「じゃあ一緒に行く?」「うん」思いがけず誘われためえめえは、部活の休みを利用してサブレと共にじいちゃんの家を目指す。夜行バスに乗って、二人の“不謹慎な”そして特別な旅が始まるー。(「BOOK」データーベースより)

好奇心旺盛な十代の学生にとって「死」という言葉は、あまりにも現実味がなく、それでいて興味を惹かれるキーワードなのかもしれません。「死」と「恋」青年の二大関心ごとに揺れ動く主人公「めえめえ」の姿が描かれています。大好きな「サブレ」との旅に胸を躍らせる「めえめえ」ですが、日常から離れることによって見えてくるのは「サブレ」や友達の個性と自分自身の本当の姿でした。

著者の年齢も主人公と近いため、青年期の心の機微が素直に、そしてリアルに表現されていると感じられます。また、若者言葉をそのままセリフに当てはめているので、彼らの湿度も伝わってくる。主人公がアイデンティティを確立し、自己形成していく過程をリアルタイムで見ているような面白さがありました。
もどかしくほほえましい純粋な恋心にドキドキし、哲学めいた思考に考えさせられる。
恋と成長の青春小説です。

住野よる(スミノヨル)
高校時代より執筆活動を開始。2015年『君の膵臓をたべたい』でデビュー。同作で2016年「本屋大賞」第二位、Yahoo!検索大賞“小説部門賞”など、数多くの賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データーベースより)

月と散文 又吉 直樹

★★★★★

芸人と作家二足の草鞋を履く又吉の散文集。

いろんなものが失くなってしまった日常だけれど、窓の外の夜空には月は出ていて、書き掛けの散文だけは確かにあったーー 16万部超のベストセラー『東京百景』から10年。又吉直樹の新作エッセイ集が待望の発売!(「BOOK」データーベースより)

『月と散文』はピース又吉さんのオフィシャルコミュニティサイトで発表された書き物の中から抜粋したものを加筆修正し、書きおろしを加えた散文集。日常を綴ったエッセイから創造力満載の私小説、そして突然始まる独り言カルタまで。又吉さんの感性がつまった一冊です。

「本は、自分と世間の考えを答え合わせしてくれるような存在」と言う又吉さんは、文豪の内面を描いた作品を通して自身を測ることができたのだとか。そんな経験からか、10年ぶりのエッセイ集『月と散文』は又吉さんの心の内を覗き観ることができるバラエティ豊かな内容となっています。66個のタイトルが並ぶ目次を読むだけでも面白く、その時の気分に合わせて選べる楽しさも。

「恥ずかしがり屋で繊細」と自己分析する又吉さんの文章からは気配りが感じられ、とぼけた面白さに癒される。人生の隠し味を楽しめる一冊です。

もう少し詳しい本の紹介、感想はコチラ読書ブログ『月と散文』又吉直樹

又吉直樹(マタヨシナオキ)
1980年大阪府寝屋川市生まれ。芸人。99年に上京し吉本興業の養成所に入り、2000年デビュー。03年に綾部祐二と「ピース」を結成。現在、執筆活動にくわえ、テレビやラジオ出演、YouTubeチャンネル『渦』での動画配信など多岐にわたって活躍中。またオフィシャルコミュニティ『月と散文』では書き下ろしの作品を週3回配信している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データーベースより)

月の影 影の海 十二国記 小野 不由美

★★★★★

ホラー、ミステリー、ファンタジーと様々なジャンルで名作を世に送り出している著者・小野不由美の代表作。この『十二国記』シリーズで第5回吉川英治文庫賞を受賞。『月の影 影の海』は『十二国記』シリーズのエピソード1に当たります。

上巻story:「お捜し申し上げました」-女子高生の陽子の許に、ケイキと名乗る男が現れ、跪く。そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。男とはぐれ一人彷徨う陽子は、出会う者に裏切られ、異形の獣には襲われる。なぜ異邦へ来たのか、戦わねばならないのか。怒濤のごとく押し寄せる苦難を前に、故国へ帰還を誓う少女の「生」への執着が迸る。シリーズ本編となる衝撃の第一作。(「BOOK」データーベースより)

下巻story:わたしは、必ず、生きて帰る」-流れ着いた巧国で、容赦なく襲い来る妖魔を相手に、戦い続ける陽子。度重なる裏切りで傷ついた心を救ったのは、“半獣”楽俊との出会いだった。陽子が故国へ戻る手掛かりを求めて、雁国の王を訪ねた二人に、過酷な運命を担う真相が明かされる。全ては、途轍もない「決断」への幕開けに過ぎなかった。(「BOOK」データーベースより)

辛いと思っていたあの日常のなんと幸せだったことか。現実の世界と並行して存在するもう一つの世界、「十二国」に迷い込んだ陽子。地図に載っていないこの世界は、古代中国を連想させる風景や風俗と、絶対王政によって統治されている十二の国から成り立っていました。陽子はわけもわからぬまま、命を狙われることに。様々な困難や戦い、そして出会いによって少しずつこの物語の全貌が明らかになっていきます。

壮大な物語の幕開けを予感させる奥深く、エキサイティングなエピソードと魅力的なキャラクターたち。ファンタスティックなストーリーの中に生身の人間の本質が浮かび上がる様はファンタジーの枠にとどまらない人間模様と面白さがあります。

日本ファンタジー界に衝撃を与えたシリーズ・始まりの物語。

小野不由美(オノフユミ)
12月24日、大分県中津市生まれ。京都大学推理小説研究会に所属し、小説の作法を学ぶ。1988年作家デビュー。「悪霊」シリーズで人気を得る。13年『残穢』が第26回山本周五郎賞、20年「十二国記」シリーズが第5回吉川英治文庫賞を受賞(「BOOK」データーベースより)

風の海 迷宮の岸 十二国記 小野 不由美

★★★★★

ホラー、ミステリー、ファンタジーと様々なジャンルで名作を世に送り出している著者・小野不由美の代表作。この『十二国記』シリーズで第5回吉川英治文庫賞を受賞。『風の海 迷宮の岸』は『十二国記』シリーズのエピソード2に当たります。

story:幼(いとけな)き麒麟に決断の瞬間が訪れる──神獣である麒麟が王を選び玉座に据える十二国。その一つ戴国(たいこく)麒麟の泰麒(たいき)は、天地を揺るがす<蝕(しょく)>で蓬莱(ほうらい)(日本)に流され、人の子として育った。十年の時を経て故国(くに)へと戻されたが、麒麟の役割を理解できずにいた。我こそはと名乗りを挙げる者たちを前に、この国の命運を担うべき「王」を選ぶことはできるのだろうか。(出版社より)

『風の海 迷宮の岸ではエピソード0『魔性の子』の主人公、高里要の神隠しの謎に迫ります。
シリーズごとに主人公が変わるこの物語、今回は十二の国の一つ戴国の麒麟・泰麒のストーリー。
まるで桃源郷のような場所・蓬山で暮らす泰麒はそこで十二国の様々な事を学びます。王とは麒麟とは何か。どういうルールがあり、役割があるのか。泰麒を通して読者を「十二国記」の世界のさらに奥深くへと導きます。

やはり、このシリーズは登場人物のキャラクターがとても魅力的。この世界の常識や構造は少し複雑ですが、それを物ともしない驚きと面白さがあり、どんどんのめり込んでいきます。また、波乱を予感させる因子も随所に見え隠れし今後の展開に期待が高まります。

十二国記の世界にどっぷりとハマれる一冊。

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