10月に読んだ本をまとめました。
基本、人気作家さん、話題の本を中心に読んでいます。
今回から私の満足度、おススメ度で★をつけています。
★★★★★ とても良かった!!人に薦めたい!これを読まないなんて、人生損している!
★★★★ とても良かった!充実した時間をありがとう。是非、読んでみてください!!
★★★ 読んで良かった。面白かったです。読んで損はない!
★★ 少し難しかったかな?あなたの意見を聞かせてください。
★ う~ん、今の私には難解だった。また、再挑戦します。
あくまで私の基準です。本選びの参考になればうれしいです。
そして、バトンは渡された 瀬尾 まい子
★★★★★
何度も両親が変わり、血のつながらない父親、森宮さんと暮らす高校生の優子は担任の先生から悩みがあれば打ち明けるよう声をかけられるのだが、悩みが見つからず心配してくれる先生に申し訳なく思ってしまう程で…
本屋大賞を受賞した人気小説。今秋、映画化されました。
血のつながりとは?親子とは?家族とは?人とのつながりの意味や大切さを考えさせられます。
美味そうな料理と思いやり溢れる会話がある食卓シーンが多くほっこり。森宮さんと毎日一緒に囲む食卓は家族の幸せが詰まっており、暖かい気持ちになれる一冊です。
カササギ殺人事件 アンソニー ホロヴィッツ
★★★★★
ミステリーランキングや本屋大賞(翻訳小説部門)など7冠を達成したミステリー小説。
1955年7月、パイ屋敷の家政婦の葬儀がしめやかにおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけたのか、あるいは……。その死は小さな村の人々へ徐々に波紋を広げていくー。
カササギ殺人事件はアガサクリスティーのオマージュミステリー。探偵、お屋敷、イギリスの田舎町など英国ミステリーの黄金時代を彷彿とさせます。
この物語は上下巻分かれていて、それぞれが別世界の作中作。そして、それぞれ起こる事件に因果関係があります。
散りばめられたヒントに探偵の活躍。登場人物の誰もが犯人だと思われる状況でどうやって真実にたどり着くのか?読み応えのある物語。二十一世紀に書かれた翻訳ミステリー最高峰と言われる名作に眠れぬ夜が続きそう。
フーガはユーガ 伊坂 幸太郎
★★★★★
この物語の主人公、優我と風我は双子の兄弟。
彼らの子供時代は二人で運命を共有することで、なんとか生き延びることができるくらい不幸せな子供時代だった。そして二人は子供だから、与えられた境遇を受け入れるしかなかった…というやられっぱなしの展開にはならない。なぜなら、彼ら兄弟だけの、誕生日にだけ起きる不思議な現象、「アレ」があったから…
冒頭から、これはイヤミスかと身構えてしまうくらいの虐待シーンがある。
虐待は社会問題、現状はこんなにひどいものですよと表現するだけではなく、それに対してどういう風に考えたらよいのか、どう対処したらよいのか、何かしら前向きにこの問題の突破口を探そうとする著者の挑戦がうかがえます。
伊坂幸太郎作品の物事の見方にハッとさせられたり、面白い言い回しで笑わせられたり、前向きになれる言葉があったり、そういう所は健在で、暗い中にもなんとか救いを見出そうと工夫されている一方で、どうしようもない現実も容赦なく描かれている。
これは伊坂幸太郎作品史上もっとも切なくて、でも、あたたかい、そんな物語。
medium 相沢 沙呼
★★★★
ミステリランキング5冠の話題のミステリー小説。
死者が視える霊媒・城塚翡翠と、推理作家・香月史郎。心霊と論理を組み合わせ真実を導き出す二人は、世間を騒がす連続死体遺棄事件に立ち向かう。証拠を残さない連続殺人鬼に辿り着けるのはもはや翡翠の持つ超常の力だけ。だがその魔手は彼女へと迫りー。
翡翠は霊媒探偵で霊が視えるため、ホラー小説とまでいきませんが、やはりちょっとした奇妙さはあります。
かわいらしい翡翠との友達以上恋人未満のやりとりや、女子高生が沢山出てきたりするところなど男性諸君には羨ましい展開も。
この物語は全てが伏線とあらかじめ謳われていたので、最初から推理しながら読んでいましたが、それでも見事に騙されました。文字通り、文章や描写、そこから読者が受け取る感情などその全てが伏線。思いもかけない展開で、最後の最後まで驚きの連続でした。
三千円の使いかた 原田 ひ香
★★★★★
様々なランキングの上位にランクインしている今一番話題の本。
御厨美帆は中学生だった頃に祖母から、もらったお年玉三千円を何に使ったか聞かれ「マックと本」と答えた。姉の真帆はお小遣いを足してエナメルの財布を買ったのだが、その違いについて祖母は「三千円くらいの少額のお金で買うもの、選ぶもの、三千円ですることが結局、人生を形作っていく」と言うのだ。それはどういう意味なのか、その時の美帆にはまだわからなかった…
今はネット社会で、家にいながらお小遣いを稼いだり、国の政策を利用したり、節約方法にも色々あり、その方法や利用の仕方などがこの物語の家族を通して自然と学べます。
また、独立、結婚、老後など人生の節目ごとにお金の悩みが変わってくる様子がリアルに描かれており、未来の自分の生活をイメージしやすい。お金についてきちんと考えるきっかけにもなりました。
「いざという時のためにお金貯めなきゃいけない!」心からそういう気持ちにさせられます。
空飛ぶ広報室 有川 浩
★★★★
雑誌ダ・ヴィンチ「ブック・オブ・ザ・イヤー2012」の小説部門第1位に輝き、ドラマにもなった小説。
不慮の事故で夢を断たれた元・戦闘機パイロット・空井大祐が航空幕僚監部広報室に異動になり、ひと癖もふた癖もある先輩たちとのやりとりや、美人TVディレクターと出会いなど、自衛隊の活動や苦楽、裏事情などが親しめるお仕事小説。
また、ストーリーの大部分が実話に基づくエピソードであり、ノンフィクションの部分も多く含まれているとのこと。物語を読んでいくにつれて彼らを身近に感じられるようになりました。
二魂一体の友 萩原 朔太郎 室生 犀星
★★★★★
少し前頃からちょっとした文豪ブーム。関連書籍を始め、映画やアニメ、ゲームなど文豪関連の作品が数多く見られます。若者に人気のロックバンド「ヨルシカ」の新曲「月に吠える」はまさにこのエッセイ集の著者の一人、萩原朔太郎の詩集のタイトルから取ったものです。
当書は、詩人と言えば真っ先にその名を浮かべる方も多いであろう萩原朔太郎と、その親友室生犀星との交流を描いたエッセイ、互いの詩集に寄せた序文など、二人の出会いからお互いの性格、文豪同士の交流、詩について、犀星の詩との決別、そして永遠の別れまでを集成したものです。
二人の友情に笑い、涙しました。詩に込められた想いもより深く感じ取れます。ボリュームたっぷりで、文豪好きなら是非読んで欲しい一冊。もちろんそれぞれの詩人ファンも。私の好みで星は5つです。