2021年 本屋大賞受賞作品一覧
本屋大賞とは、全国の書店員が選んだ「いちばん!売りたい本」です。
書店に行くと、多くの本が並んでいますが、どの本を買ったらよいか迷いますよね。書店員さんは毎日本に触れていて、多くの本を読まれる方が多いです。また、著者や売れ筋について多くの知識を持ち、情報交換も盛んに行っています。
本屋大賞は過去一年の間、書店員自身が自分で読んで「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」本を投票し決めるものです。その中で選ばれた上位10作品が入賞します。
全体を通して比較的読みやすく、多くの読書家の間でも人気の作品が多い傾向ですので、本選びに迷ったら、是非参考にしてください。
52ヘルツのクジラたち 町田 そのこ
2021年本屋大賞受賞作品。2024年春に映画公開予定です。
story:52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。そのためこの世で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、魂の物語が生まれる。2021年本屋大賞第1位(「BOOK」データベースより)
思わず耳を塞ぎたくなる子供への虐待ニュース、最近特に多いと感じませんか。まだ明るみにでていないものもあるのだと考えると、いたたまれない気持ちになりますね。ニュースでは虐待を受けた子供たちが、その後どういう人生を歩んだかまでは知ることが出来ません。
この『52ヘルツのクジラたち』は、そんなつらい子供時代を経験した女性の半生を描いた物語です。
新たな一歩を踏み出そうとした主人公・貴瑚(きこ)。偶然出会った子供の体に見覚えのある印を見つけた彼女はなんとか救ってあげたいと思うのですが…
恐ろしい虐待の実態や、歪んだ人間関係によりもたらされた不器用な人間関係と生きづらさ。様々な出会いにより見えてくるその人の真実の姿が時に悲しく、時にたくましく映ります。
誰もが不安を抱えている時代。声なき声を上げている人達へ。考えさせられる物語です。
1980年生まれ。「カメルーンの青い魚」で、第十五回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)
お探し物は図書室まで 青山 美智子
お探し物は、本ですか?仕事ですか?人生ですか?悩める人々が立ち寄った小さな図書室。不愛想だけど聞き上手な司書さんが思いもよらない選書と可愛い付録で人生を後押しします。『木曜日にはココアを』の著者が贈る、明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。(「BOOK」データベースより)
1970年生まれ、愛知県出身。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。第28回パレットノベル大賞佳作受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が第1回宮崎本大賞を受賞。同作と2作目『猫のお告げは樹の下で』が未来屋小説大賞入賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)
犬がいた季節 伊吹 有喜
ある日、高校に迷い込んだ子犬。生徒と学校生活を送ってゆくなかで、その瞳に映ったものとはー。最後の共通一次。自分の全力をぶつけようと決心する。18の本気。鈴鹿でアイルトン・セナの激走に心通わせる二人。18の友情。阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件を通し、進路の舵を切る。18の決意。スピッツ「スカーレット」を胸に、新たな世界へ。18の出発。ノストラダムスの大予言。世界が滅亡するなら、先生はどうする?18の恋…12年間、高校で暮らした犬、コーシローが触れた18歳の想いー。昭和から平成、そして令和へ。いつの時代も変わらぬ青春のきらめきや切なさを描いた、著者最高傑作!(「BOOK」データベースより)
1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。2008年『風待ちのひと』でポプラ社小説大賞特別賞を受賞しデビュー。主な著書に、全国有志の書店員による「乙女の友大賞」を受賞した『彼方の友へ』など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)
逆ソクラテス 伊坂 幸太郎
逆境にもめげず簡単ではない現実に立ち向かい非日常的な出来事に巻き込まれながらもアンハッピーな展開を乗り越え僕たちは逆転する!無上の短編5編(書き下ろし3編)を収録。(「BOOK」データベースより)
1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞(短編部門)、08年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞・第21回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)
自転しながら公転する 山本 文緒
直木賞作家・山本文緒の長編小説。この作品で第27回島清恋愛文学賞、第16回中央公論文芸賞を受賞しています。
story:結婚、仕事、親の介護、全部やらなきゃダメですか? 答えのない問いを生きる私たちのための傑作長篇。東京のアパレルで働いていた都は母親の看病のため茨城の実家に戻り、アウトレットのショップで店員として働き始めるが、職場ではセクハラなど問題続出、実家では両親共に体調を崩してしまい……。恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなこと無理! ぐるぐる思い惑う都の人生の選択から目が離せない、共感度100%小説。(出版社より)
この物語は、多くの女性の支持を集めました。主人公の都に起こる日常の出来事は、女性なら「わかる」「あるある、そんな事」と思わずつぶやいてしまいそうなことばかり。職場でのイザコザや、結婚や介護をほのめかす両親、肝心なことをはぐらかす恋人。そんなストーリーに共感し、まるで自分の事?と思ってしまう読者も。そして、何より女性の気持ちがとても的確に表現されています。
また、この物語は、都の母親・桃枝の視点も描かれています。若い女性と人生経験を積んだ女性、この2つの視点で同じ物事を違う風に受け取る描写があり、そのどちらにも理解できると多くの女性の共感を得ています。
1962年神奈川県生れ。OL生活を経て作家デビュー。99年『恋愛中毒』で吉川英治文学新人賞、2001年『プラナリア』で直木賞を受賞した。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)
八月の銀の雪 伊与 原新
不愛想で手際が悪いー。コンビニのベトナム人店員グエンが、就活連敗中の理系大学生、堀川に見せた驚きの真の姿。(『八月の銀の雪』)。子育てに自信をもてないシングルマザーが、博物館勤めの女性に聞いた深海の話。深い海の底で泳ぐ鯨に想いを馳せて…。(『海へ還る日』)。原発の下請け会社を辞め、心赴くまま一人旅をしていた辰朗は、茨城の海岸で凧揚げをする初老の男に出会う。男の父親が太平洋戦争で果たした役目とは。(『十万年の西風』)。科学の揺るぎない真実が、人知れず傷ついた心に希望の灯りをともす全5篇。(「BOOK」データベースより)
1972年、大阪生れ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年、『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞。2019年、『月まで三キロ』で新田次郎文学賞、静岡書店大賞、未来屋小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)([BOOK」データベースより)
滅びの前のシャングリラ 凪良 ゆう
「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そしてー荒廃していく世界の中で、四人は生きる意味を、いまわのきわまでに見つけられるのか。圧巻のラストに息を呑む。滅び行く運命の中で、幸せについて問う傑作。([BOOK」データベースより)
滋賀県生まれ。2006年、「小説花丸」に「恋するエゴイスト」が掲載されデビュー。以降、各社でBL作品を刊行。17年、非BL作品である『神さまのビオトープ』を刊行し高い支持を得る。20年『流浪の月』が本屋大賞グランプリを獲得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)([BOOK」データベースより)
オルタネート 加藤 シゲアキ
私は、私を育てていくーー。誰しもが恋い焦がれた青春の普遍を真っ向から描き切る、加藤シゲアキ、これが新たな代表作。高校生限定のマッチングアプリが必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、3人の若者の運命が、鮮やかに加速していくーー。恋とは、友情とは、家族とは、人と“繫がる”とは何か。悩み、傷つきながら、〈私たち〉が「世界との距離をつかむまで」を端正かつエモーショナルに描く。著者3年ぶり、渾身の新作長編。(出版社より)
1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。NEWSのメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)([BOOK」データベースより)
推し、燃ゆ 宇佐見 りん
島由紀夫賞を最年少で受賞した宇佐美りんの芥川賞受賞作品。
story:推しが炎上した。ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。そんなある日、推しがファンを殴った。第164回芥川龍之介賞受賞。(「BOOK」データーベースより)
〈病めるときも健やかなるときも推しを推す〉
「推し」活に没頭する少女・あかりの姿や心情を描いた物語。
何をするにもうまく行かないあかり。辛い現実から逃れるかのように頭の中は「推し」のことで一杯。「推し」が炎上したことをきっかけに、見えてきたものと変化していくもの。短縮化された若者言葉の中に美しい情景描写が入り混じるの文章が特徴的で、少女の不安定さや違和感がより生々しく感じられます。
「推し」が全ての彼女はどうなってしまうのか?
「推し」がいる人は共感できる部分も多いのではないでしょか。SNS時代の若者のリアルを感じられる物語です。
1999年静岡県生まれ、神奈川県育ち。現在大学生。2019年、『かか』で第五六回文藝賞を受賞、三島由紀夫賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)([BOOK」データベースより)
この本を盗む者は 深緑 野分
書物の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬。父は巨大な書庫「御倉館」の管理人を務めるが、深冬は本が好きではない。ある日、御倉館から蔵書が盗まれ、深雪は残されたメッセージを目にする。“この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる”本の呪いが発動し、街は物語の世界に姿を変えていく。泥棒を捕まえない限り元に戻らないと知った深冬は、様々な本の世界を冒険していく。やがて彼女自身にも変化が訪れてー。([BOOK」データベースより)
1983年神奈川県生まれ。2010年「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年、入選作を表題作とした短編集でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)([BOOK」データベースより)