2023年10月11月に読んだ本

読書日記月別
記事内に広告が含まれています。

2023年10月・11月に読んだ本をまとめました。
人気作家さん、話題の本を中心に読んでいます。

私の満足度・おススメ度でをつけています。

★★★★★ とても良かった!!人に薦めたい!これを読まないなんて、人生損している!

★★★★  とても良かった!充実した時間をありがとう。是非、読んでみてください!!

★★★   読んで良かった。面白かったです。読んで損はない!

★★    少し難しかったかな?あなたの意見を聞かせてください。

     う~ん、今の私には難解だった。また、再挑戦します。

あくまで私の基準です。本選びの参考になればうれしいです。

黄色い家 川上 未映子

★★★★★

芥川賞を始め数々の文学賞を受賞し、世界的にも注目を浴びている川上未映子の話題作。新聞連載小説の書籍化作品。

story:十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解し……。人はなぜ罪を犯すのか。世界が注目する作家が初めて挑む、圧巻のクライム・サスペンス。(出版社より)

カード犯罪や夜の街などアンダーグラウンドの世界を描いた『黄色い家』は、「お金」と「人間の幸福」を問うクライムサスペンス

主人公の花はシングルマザーの貧困家庭で育った少女。社会の仕組みや厳しさはまだ理解していませんが、何をするにもお金が必要であることだけは知っています。そんな彼女が家を飛び出した先で待っていた波乱万丈な出来事。純粋無垢な少女が大人の保護もなく、何の知識も持たないまま裏社会に足を踏み入れてしまう展開はスリリングで面白いのですが、余りにも無防備で一生懸命な主人公に親心にも似たハラハラを感じてしまいます。

また、心の内が漏れ出たかのように書き連ねた心情描写がとにかく生々しい。危うさと強さを併せ持ったリアルな少女像を浮かび上がらせます。

波乱万丈な人生経験を経てきた著者ならではの説得力のある物語。
もし、裏社会の人生を疑似体験できたら?
お金ついての言葉が沢山。ハッとさせられる一冊です。

もう少し詳しい本の紹介、感想はコチラ読書ブログ『黄色い家』川上未映子

川上未映子(カワカミミエコ)
大阪府生まれ。2008年『乳と卵』で芥川龍之介賞、09年、詩集『先端で、さすわさされるわそらええわ』で中原中也賞、10年『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞および紫式部文学賞、13年、詩集『水瓶』で高見順賞、同年『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞、16年『あこがれ』で渡辺淳一文学賞、19年『夏物語』で毎日出版文化賞を受賞。『夏物語』は40カ国以上で刊行が進み、『ヘヴン』の英訳は22年国際ブッカー賞の最終候補に選出された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)

鏡の国 岡崎 琢磨

★★★★

ベストセラー小説『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』の著者・岡崎琢磨の新刊ミステリー小説。

story:大御所ミステリー作家・室見響子の遺稿が見つかった。それは彼女が小説家になる前に書いた『鏡の国』という私小説を、死の直前に手直ししたものだった。「室見響子、最後の本」として出版の準備が進んでいたところ、担当編集者が著作権継承者である響子の姪に、突然こう告げる。「『鏡の国』には、削除されたエピソードがあると思います」-。削除されたパートは実在するのか、だとしたらなぜ響子はそのシーンを「削除」したのか、そもそも彼女は何のためにこの原稿を書いたのか…その答えが明かされた時、驚愕の真実が浮かび上がる。(「BOOK」データベースより)

この小説の中に削除されたエピソードがあるー。
実話をもとに描かれている遺稿には隠された謎がある。ミステリー作家の姪は、そんな相談を担当編集者から聞かされて驚きます。あまり、良い印象のない伯母の真の姿は一体どんな人なのだろうか。この小説は伯母である室見響子が描いたある事件にまつわる作中作。

この物語の読みどころは、作中作『鏡の国』もミステリー小説であるところ。ミステリー小説を推理する面白さと、削除されたエピソードを解き明かす楽しさの両方を楽しめます二転三転するストーリーと複雑に絡み合った仕掛けの中から真実を見つけ出した時、見えていた世界が反転する驚きが待ってます。

幾つもの謎が紐解かれた時、伯母の真の姿が見えてくるー。
ボリュームはありますが、とても読みやすいミステリー小説です。

岡崎琢磨(オカザキタクマ)
1986年、福岡県生まれ。京都大学法学部卒。2012年、第10回『このミステリーがすごい!』大賞の最終選考に残った『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』でデビュー。13年、同作で第1回京都本大賞受賞、人気シリーズとなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)

「おかえり」と言える、その日まで 中村 富士美

★★★★★

民間の山岳遭難団体を立ち上げた著者・中村富士美さんが経験した山岳遭難の現場。

story:発見の鍵を握るのは、行方不明者の「癖」。プロファイリングによる捜索実話。「せめてお別れだけでもしたい」–いくら探しても見つからないという家族から依頼を受け、著者は山へ向かう。たとえ身近な低山でも、運命の分かれ道は登山道の随所に潜んでいるのだ。家族のケアをしながら丹念に話を聞き、プロファイリングで消えた足跡を辿る6つのエピソード。予防と早期発見に役立つコラム付き。(出版社より)

この『「おかえり」と言える、その日まで』は、看護師でもある著者が自身の実体験をもとに山岳遭難のリアルを描いたノンフィクション。遭難と言えば、高い山を想像されるかもしれませんが、実際は近郊の低山でも頻繁に起こっているといいます。

えっ、たったそれだけのことで?
著者が関わった6つの遭難事故の例をあげ、登山者の性格や装備などから遭難の理由や、捜索する場所を特定する過程がわかりやすくレポートされています。また、捜索する側の様子や帰りを待ちわびる家族の心境や実状も描かれており、里山の遭難事故の実態が見えてきます。

登山ルートや写真もそれぞれ掲載され、とても分かりやすく、遭難者やその家族に寄り添った著者の想いがあたたかい。安全な登山を心がけるきっかけにも。

眠れない一族 ダニエル・T.マックス

★★★★★

作家・ジャーナリストとして活躍しているダニエル・T.マックスのメディカルミステリー。

story:ヴェネツィアのある高貴な貴族出身の一族は、謎の不眠症に苦しんでいた。この病気は中年期に発症し、異常発汗や頭部硬直、瞳孔収縮を引き起こし、やがて患者は不眠状態に陥って死んでしまう。この一族の数世紀に及ぶ物語を軸に話は展開、やがてこの病がクールー病、狂牛病と同じプリオン病だとわかる。プリオン病の起源を探るうちに、80万年前の食人習慣へとたどり着く。(出版社より)

この物語は、感染症の概念を覆すプリオンの謎を解くサイエンスミステリー。人間のエゴが生み出したとも考えられる様々な病気の恐ろしさと、それを解明しようとする科学者や医師の戦いの歴史が記されています。何世紀にもわたって静かに、しかし確実に私たちの身近に忍び寄って来た病・プリオン病がどのようにして発生し、広まり、恐るべき変異を遂げたのか。黒い影も見え隠れするヨーロッパの文化も相まってスリリングなストーリーに目が離せません。

何より驚いたのが、この話は科学に基いたノンフィクションだと言うこと。実際にノーベル賞を受賞した人物が登場し、『眠れない一族』に繋がる、世界を震撼させた病についての検証過程もしっかりと描かれています。次々に解明されていくおぞましい出来事と、恐ろしい事実。「真実は小説よりも奇なり」と言いますが、物語は謎めいた病とその正体を暴いていくミステリー仕立になっており、ノンフィクションながら読む手が止まらくなりました。オカルト的な雰囲気を醸し出す知的好奇心に満ちた不思議な一冊です。

もう少し詳しい本の紹介、感想はコチラ読書ブログ『眠れない一族』ダニエル・T・マックス

著者:マックス,ダニエル・T.(Max,Daniel T.)(マックス,ダニエルT.)
ニューヨーク生まれ。1984年ハーヴァード大学卒業。ワシントン・スクエア・プレス社、ホートン・ミフリン社、「ニューヨーク・オブザーバー」誌の編集者を経て、現在、作家・ジャーナリストとして活躍
訳者:柴田裕之(シバタヤスシ)
1959年生まれ。早稲田大学・アーラム大学(米国)卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
(「BOOK」データーベースより)

十戒 夕木 春央

★★★★

週刊文春ミステリーベスト10・国内部門&MRC大賞2022など4冠に輝き、ミステリ界を震撼させた『方舟』の著者・夕木春央、待望の最新作。

story:殺人犯を見つけてはならない。それが、わたしたちに課された戒律だった。
浪人中の里英は、父と共に、伯父が所有していた枝内島を訪れた。
島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。
島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。
“この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。
犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まったーー。(出版社より)

新本格ミステリーと言えば、事件を推理しながら犯人を捜すストーリーが王道です。状況的にも精神的にも追い詰められていくハラハラ感はそれだけでも面白いのですが、物語はこの上、さらに危機的状況に。犯人を見つけてはいけないという特殊なルールを始め、つねに命綱を握られている状況で、守らなければいけない戒律と増える犠牲者

この絶体絶命のピンチから脱出できるのか。
あっと驚く結末。ミステリーの醍醐味を味わえる一冊です。

夕木春央(ユウキハルオ)
2019年、「絞首商会の後継人」で第60回メフィスト賞を受賞。同年、改題した『絞首商會』でデビュー(「BOOK」データベースより)

存在のすべてを 塩田 武士

★★★★★

グリコ・森永事件を題材とした小説『罪の声』や、俳優・大泉洋の当て書き小説『騙し絵の牙』などの映画化作品で話題の作家・塩田武士のミステリー新刊。

story:平成3年に発生した誘拐事件から30年。
当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。
異様な展開を辿った事件の真実を求め再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がるーー。質感なき時代に「実」を見つめる、著者渾身、圧巻の最新作。(出版社より)

2件の同時誘拐というセンセーショナルな事件から始まる物語は、最初から息もつかせぬ緊張感の連続。元新聞記者の経歴を持つ著者ならではの鋭い観察眼で事件や人間が精細に描かれており、まるで目の前でその場面が繰り広げられているかのような臨場感にのめり込んでしまいます。少しずつ紐解かれていく謎に、核心に迫っていく手応えのようなものを感じられて、事件の真相を追い求める興奮を覚えるでしょう。

また、人物一人一人の心情が多角的に表現されているため、印象に残るシーンが多く、物語に深みを持たせる効果も。人間について。人生について。この事件は人間を問う物語とも言えます。

様々な感情が駆け巡る重厚なストーリー。
生身の人間の息遣いやその場の空気を感じられるリアルで心揺さぶられるミステリーです。

塩田武士(シオタタケシ)
1979年兵庫県生まれ。関西学院大学卒業後、神戸新聞社在籍中の2010年『盤上のアルファ』で第五回小説現代長編新人賞、11年第二十三回将棋ペンクラブ大賞を受賞。16年『罪の声』で第七回山田風太郎賞を受賞、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第一位。19年に『歪んだ波紋』で第四十回吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データーベースより)

じい散歩 藤野 千夜

★★★★★

芥川賞受賞作家・藤野千夜が描く現代の家族小説。

story:夫婦あわせて、もうすぐ180歳。中年となった3人の息子たちは、全員独身ーー。明石家の主、新平は散歩が趣味の健啖家。妻は、散歩先での夫の浮気をしつこく疑っている。長男は高校中退後、ずっと引きこもり。次男はしっかり者の、自称・長女。末っ子は事業に失敗して借金まみれ。……いろいろあるけど、「家族」である日々は続いてゆく。飄々としたユーモアと温かさがじんわりと胸に沁みる、現代家族小説の白眉。解説・木内昇(出版社より)

各メディアでも話題沸騰中の高齢化家族小説。
この物語の主人公のおじいちゃんは、御年89歳。健康のため散歩が日課になっており、日々の小さな楽しみを見つけながら前向きに暮らしています。喫茶店で美味しそうなランチを食べたり、隠れた趣味を楽しんだりと、おじいちゃんの日常ほっこり。と思いきや、おじいちゃんを取り巻く奇想天外な状況に驚かされます。引きこもりの長男と借金まみれの三男、生活力のない中年息子2人に女性になった次男。この頃言動が少しおかしい妻。

8050問題や多様性社会、老々介護、そして高齢化社会。日本が抱える社会問題の縮図のような一家のやりとりが面白い。ユーモラスな一家の悲喜こもごも。共感して、笑って、ちょっぴり泣ける家族小説です。

藤野千夜(フジノチヤ)
1962年福岡県生まれ。千葉大学教育学部卒。95年『午後の時間割』で第14回海燕新人文学賞、98年『おしゃべり怪談』で第20回野間文芸新人賞、2000年『夏の約束』で第122回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データーベースより)

好きです、死んでください 中村 あき

★★★★

story:無人島のコテージに滞在する男女の恋模様を放送する、恋愛リアリティーショー「クローズド・カップル」の撮影が始まった。俳優、小説家、グラビアアイドルなど、様々な業種から集められた出演者は交流を深めていくが、撮影期間中に出演者である人気女優・松浦花火が死体となって見つかった。事件現場の部屋は密室状態で、本土と隔絶された島にいたのは出演者とスタッフをあわせて八人のみ。一体誰がどうやって殺したのか?そして彼女の死は、新たな惨劇を生み出してー。恐るべき事件の“真犯人”は誰なのか?衝撃のラストが待つ孤島ミステリ!(出版社より)

多くのミステリーファンが喜ぶ孤島が舞台の新本格ミステリー。
犯人はこの中にー。無人島を訪れたのは「リアルタイム形式で繰り広げられる恋模様」が売りの恋愛バラエティ番組出演者、スタッフの総勢8名。主人公は、この甘酸っぱいテーマにはそぐわない恋愛下手なミステリー作家の栞。彼は、自身に不似合いなこの企画に選ばれたことを訝しみながらも、美しすぎる女優・花火に密かに恋心を募らせるのですがー。

複数のカメラが回っている中での死角なしの密室殺人。推理を巡らす面々。立て続けに起こる殺人事件とそれぞれの恋愛模様も絡んで、誰もが怪しく、不可能なミステリーの謎解きにいつの間にか夢中になってしまうでしょう。

時々飛び出す若者らしい流行言葉も新鮮でリアル。
読みやすく、新本格ミステリーを楽しめる一冊です。

中村あき(ナカムラアキ)
1990年生まれ。2013年『ロジック・ロック・フェスティバルーLogic Lock Festival 探偵殺しのパラドックス』で第8回星海社FICTIONS新人賞を受賞し、デビュー。『チェス喫茶フィアンケットの迷局集』で第3回双葉文庫ルーキー大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)

華胥の幽夢 十二国記 小野 不由美

★★★★★

ホラー、ミステリー、ファンタジーと様々なジャンルで名作を世に送り出している著者・小野不由美の代表作。この『十二国記』シリーズで第5回吉川英治文庫賞を受賞。『華胥の幽夢』は『十二国記』シリーズのエピソード7に当たります。

story:王は夢を叶えてくれると信じた。だが。 才国(さいこく)の宝重である華胥華朶(かしょかだ)を枕辺に眠れば、理想の国を夢に見せてくれるという。しかし、采麟(さいりん)が病に伏すいま、麒麟が斃(たお)れることは国の終焉を意味する国の命運は──「華胥」。雪深い戴国(たいこく)の王が、麒麟の泰麒(たいき)を旅立たせ、見せた世界は──「冬栄」。そして、景王(けいおう)陽子(ようこ)が親友楽俊(らくしゅん)への手紙に認(したた)めた希(ねが)いとは──「書簡」。王たちの理想と葛藤を描く全5編。(出版社より)

『十二国記』シリーズ、エピソード6までストーリーの後日談や番外編などを集めた短編集。それぞれの国を掘り下げた話は勿論、各国の交流などもあり、意外な所で噂に上る「あの出来事」や人物評が面白い。

タイトルにもなっている「華胥」は才国のお話。才国は立派な志を持った王がいるにもかかわらず、国は傾いてゆくばかり。頭を悩ませる朱夏たちだが、特にその理由は思い当たらない。そんな時、王の父が何者かに殺害されて…。

「なぜ、国が傾いてゆくのか」「王の父を殺害したのは誰なのか」このシリーズでは珍しいミステリー仕立てのストーリー。明らかになっていく犯人像と国が傾いていく理由がクライマックスに向けてシンクロしていき、衝撃の真実を知ることに。

ものの捉え方や考え方が変わる、ドキッとする言葉が沢山。
心に刺さるリアルファンタジー。学生さんを始め、多くの人の人に読んで欲しい物語です。

小野不由美(オノフユミ)
12月24日、大分県中津市生まれ。京都大学推理小説研究会に所属し、小説の作法を学ぶ。1988年作家デビュー。「悪霊」シリーズで人気を得る。13年『残穢』が第26回山本周五郎賞、20年「十二国記」シリーズが第5回吉川英治文庫賞を受賞(「BOOK」データーベースより)

黄昏の岸 暁の天 十二国記 小野 不由美

★★★★★

ホラー、ミステリー、ファンタジーと様々なジャンルで名作を世に送り出している著者・小野不由美の代表作。この『十二国記』シリーズで第5回吉川英治文庫賞を受賞。『黄昏の岸 暁の天』は『十二国記』シリーズのエピソード8に当たります。

story:王と麒麟が還らぬ国。その命運は!? 驍宗(ぎようそう)が玉座に就いて半年、戴国(たいこく)は疾風の勢いで再興に向かった。しかし、文州(ぶんしゆう)の反乱鎮圧に赴(おもむ)いたまま王は戻らず。ようやく届いた悲報に衝撃を受けた泰麒(たいき)もまた忽然(こつぜん)と姿を消した。王と麒麟を失い荒廃する国を案じる女将軍は、援護を求めて慶国を訪れるのだが、王が国境を越えれば天の摂理に触れる世界──景王陽子が希望に導くことはできるのか。(出版社より)

戴国の女将軍・李斎は後ろ暗い気持ちを抱えて慶国に駆け込みますが…。
十二国のひとつ戴国の異変をきっかけに始まる、これまでに登場した国の王や麒麟が入り乱れての総力戦。慶国の王・陽子の内面の成長や、雁国の王・尚隆がタジタジになる場面など、個性あふれる登場人物の活躍や勇姿がまぶしい。他国を巻き込む形で戴国の麒麟・泰麒を取り戻そうと目論む陽子。それぞれの国との親睦を深めつつ、十二国の未来を切り開こうと思いを巡らせます。

その一方で、忌まわしい日々を過ごす泰麒。この泰麒のエピソードは『十二国記 エピソード0』に繋がります。あの出来事の裏側や実情について、謎が残っていた部分も解き明かされていきます。綿密な仕掛けに『十二国記』の魅力をより感じることでしょう。

ものの捉え方や考え方が変わる、ドキッとする言葉が沢山。
心に刺さるリアルファンタジー。学生さんを始め、多くの人の人に読んで欲しい物語です。

タイトルとURLをコピーしました