story:学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような建物。そこにはオオカミの面をつけた少女が待ち受け、こころを含め、似た境遇の7人が集められていた。城に隠された鍵を探すことで願いが叶えられるという。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。本屋大賞受賞作。(「BOOK」データベースより)
学生時代は、とにかく勉強が嫌で早く大人になって勉強から逃れたいと思っていたけれど、社会に出たからといって勉強から逃れられるわけでもなく・・・。
周りから勉強しなさいと言われたり、誰かと学力を競い合ったりすることはない代わり仕事で誰かと比べられて、その時になって「あぁ、もっと勉強しておけばよかった」と後悔するというよくある話。私も、その一人だけれど、資格を取得したり、食品添加物について調べたり、自分が興味を持ったことを勉強するのは意外と楽しい。まぁこれから絶対必要だろうなあと思っている英語はあまり進歩がないんだけれど、ぼちぼちやることにしています。
学校へ行く目的は勉強だけではなく、良好な対人関係を築くための社会生活の準備期間であり、いろいろな経験をして社会へ出ていくのですが、中には立ち直れないくらいショッキングな出来事、また、自分の力だけではどうしようもない事も起こります。まぁ、みんなありますよね・・・。その時、どうしたらいいのか。子供心に悩みます。置かれている環境や、周りの大人によっても様々です。この物語は、そんな子供のお話。
最初と最後の文章のつながりがとても素晴らしく、なぜ、メルヘンの世界なのかというのも理由もなるほど、と納得しました。子供は大人が思っているよりも強いものなのね。次から次へと謎が出てきて、ミステリー要素も多くて面白い。ボリュームあったけれど、どんどん読めた。
「不登校」というテーマは重たいけれど、ファンタジー要素がたくさんあり、この主人公の置かれている厳しい現実を和らげてくれます。主人公の「こころ」ちゃんは、すごく地に足を着いた考え方をする中学生で、言葉の裏をめちゃくちゃ読むなぁと。その辺の大人よりもある意味大人なんじゃないかなと思うくらい、現実を受け止められる子だと思う。物語が、現実→非現実な世界を行ったり来たりするたび、「こころ」ちゃんの気持ちに変化があり、勇気づけられる。「鏡の中の世界」の友達も個性豊かで、それぞれの悩みがあるけれどちゃんと自分の問題に向き合えるよい子達です。本当に大人の都合で子供は振り回されるよね。 学生さん向けの本かと思いましたが、大人でも十分面白い。特に、お子さんのいる方には是非読んで欲しいしです!!
1980年生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞してデビュー。『ツナグ』で吉川英治文学新人賞を、『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。『かがみの孤城』が2018年本屋大賞第1位に。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)