20245年3月・4月に読んだ本

読書日記
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2025年3月・4月に読んだ本をまとめました。
人気作家さん、話題の本を中心に読んでいます。

私の満足度・おススメ度でをつけています。

★★★★★ とても良かった!!人に薦めたい!これを読まないなんて、人生損している!

★★★★  とても良かった!充実した時間をありがとう。是非、読んでみてください!!

★★★   読んで良かった。面白かったです。読んで損はない!

★★    少し難しかったかな?あなたの意見を聞かせてください。

     う~ん、今の私には難解だった。また、再挑戦します。

あくまで私の基準です。本選びの参考になればうれしいです。

正体 染井 為人

★★★★★

人気の長編ミステリー小説。2022年にテレビドラマ化、2024年に映画版が公開。映画版はアカデミー賞優秀賞他12部門での最多受賞を果たしました。

story:埼玉で二歳の子を含む一家三人を惨殺し、死刑判決を受けている少年死刑囚が脱獄した!東京オリンピック施設の工事現場、スキー場の旅館の住み込みバイト、新興宗教の説教会、人手不足に喘ぐグループホーム…。様々な場所で潜伏生活を送りながら捜査の手を逃れ、必死に逃亡を続ける彼の目的は?その逃避行の日々とは?映像化で話題沸騰の注目作!(「BOOK」データベースより

「人は見かけによらぬもの」とは、上辺だけの身なりや態度を見たのみでは分からないという江戸の歌舞伎由来のことわざなんだそうです。人はどうしても見た目の印象に左右されがち。現代の情報化社会では情報に価値を置くため、尚更本質を見極めにくいところも。

物語は脱獄犯が野放しになっている状況を伝えるニュースから始まります。主人公が誰かははっきりとは書かれていませんが、その正体を含め、目まぐるしく変わる展開に想像を巡らせながら読み進める物語が楽しくスリル満点。

数々の人間模様に共感したり、驚いたり、呆れたりと人生の機微を味わいながらも、その舞台は壮絶なブラック労働の業界や、カルトなど社会の不安が蔓延する場所。社会の闇がいくつも見え隠れし、その後の展開が気になって仕方がない。

現代社会の闇や人間ドラマなど、弱者の立場から見た社会のリアル
読みやすい社会派ミステリーです。

染井為人(ソメイタメヒト)
1983年千葉県生まれ。芸能プロダクションにて、マネージャーや舞台などのプロデューサーを務める。2017年『悪い夏』で横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しデビュー。『正体』が、読書メーター注目本ランキング1位を獲得した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)

禁忌の子 山口 未桜

★★★★★

SNSでも話題の本格ミステリー。本屋大賞ノミネート作品。

story:救急医・武田の元に搬送されてきた、一体の溺死体。その身元不明の遺体「キュウキュウ十二」は、なんと武田と瓜二つであった。彼はなぜ死んだのか、そして自身との関係は何なのか、武田は旧友で医師の城崎と共に調査を始める。しかし鍵を握る人物に会おうとした矢先、相手が密室内で死体となって発見されてしまう。自らのルーツを辿った先にある、思いもよらぬ真相とはー。過去と現在が交錯する、医療×本格ミステリ!第三十四回鮎川哲也賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

自分とそっくりな人は世界に3人いるとの通説がありますが、実際に出会ったとしたら驚きと共に本能的な恐怖を感じるのではないでしょうか。物語の主人公・武田は、まるで鏡を見ているかのように自身と同じ顔、同じ身体を持つ死体の死亡確認を行うことに。あまりにも気味の悪い巡り合わせに引っかかりを覚え、旧友の医師・城崎と共に調べ始めますが…

謎の死体の真相解明と共に、新たに起こる密室での事件。頭の回転が速く、誰もが振り返るほどの美貌ながらサイコパス的性格を持つ探偵役の城崎。黄金期の探偵小説を彷彿とさせる本格ミステリーの面白さが詰まった物語です。また、医学の闇にある、タブーを覗き見る恐怖と好奇心が掻き立てられるストーリーにも惹きつけられ、読み始めると止まらないまさに徹夜本。

しかし、タイトルにもあるようにボーダーラインを超えるわけですから読者にもそれなりに覚悟を持って読まなければなりません。本能を直撃する恐怖や衝撃が待ってるかも。しばらく後に引きずるか、その刺激がクセになるかはその人次第。

山口 未桜(ヤマグチミオ)
1987年兵庫県生まれ。神戸大学卒業。現在は医師として働く傍ら、小説を執筆している。2024年『禁忌の子』で第三十四回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(出版社より)

この闇と光 服部 まゆみ

★★★★★

服部まゆみの代表作、美しく幻想的な耽美の世界&ミステリー。直木賞候補作品。

story:森の奥深く囚われた盲目の王女・レイア。父王からの優しく甘やかな愛と光に満ちた鳥籠の世界は、レイアが成長したある日終わりを迎える。そこで目にした驚愕の真実とは……。耽美と幻想に彩られた美しき謎解き!(出版社より)

囚われのお姫様レイア。お城かお屋敷か、どこか広い敷地の一画で監禁生活を強いられているように思えますが、レイアは目が見えないため、その景色を想像することしか出来ません。監禁生活の中での楽しみは物語を聴くことと、父王との交流だけでした。賢いレイアはそんな中でも様々な知識を吸収し、自身の世界観を構築していくのですが…

中世ヨーロッパの退廃的で幻想的、ゴシック調のミステリー神秘的な闇を感じられて良いですね。読者は盲目のレイアと同じく少ないヒントでその世界を作り出さなければいけないわけですが、その文章からとても美しい景色を描くことができるはずです。

清らかにすくすくと育つレイアに待ち受けているものは?
思わず「えっ!?」と声が出てしまう驚愕の展開に呆然。騙される楽しさを味わえるミステリ―です。

服部まゆみ(ハットリマユミ)
1948年、東京生まれ。現代思潮社美学校卒業後、加納光於版画工房にて銅版画を学ぶ。87年、『時のアラベスク』で第7回横溝正史賞を受賞しデビュー。幻想的かつ耽美な作風と、巧妙に仕組まれたトリックとが見事に融合した作品の数々は、熱狂的支持を受ける。2007年、永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)

小説  野崎 まど

2025年度本屋大賞ノミネート作品。

story:読むだけじゃ駄目なのか。五歳で読んだ『走れメロス』をきっかけに、内海集司の人生は小説にささげられることになった。一二歳になると、内海集司は小説の魅力を共有できる生涯の友・外崎真と出会い、二人は小説家が住んでいるというモジャ屋敷に潜り込む。そこでは好きなだけ本を読んでいても怒られることはなく、小説家・髭先生は二人の小説世界をさらに豊かにしていく。しかし、その屋敷にはある秘密があった。それでも小説を読む。小説を読む。読む。宇宙のすべてが小説に集まる。(「BOOK」データベースより)

「人間は考える葦である」パスカルの有名な言葉は、人間の存在のはかなさと、思索する偉大さを表している言葉なんだとか。
日々変化してゆく社会や他人との関わり合いの中で湧き出る大小様々な疑問に、哲学者よろしく考え込んでしまった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。それが根本的なものであればあるほどしっくりくる答えは見つかりづらく、棚上げしてしまいがち。かと言って難解な哲学書なんて読むのも億劫です。

物語の主人公の少年・内海集司は父親の期待に添うべく有意義な書物を読む習慣を身に付けました。しかし、社会生活に潤いをもたらすはずのその趣味にのめり込み過ぎ、反対に日常を侵食するまでに…。

内海集司と親友・外崎真の漫才みたいな会掛け合いや、地の文のツッコミが面白く、テンポの良いストーリーと相まってとても読みやすい。また、残酷な現実がサラッと挟み込まれ、現代人らしい人生観に共感の声が多数ありました。
物語の後半は打って変わって予想もできない展開に。虚構と現実の垣根を越えた自由な思想に想像力が掻き立てられ、刺激的な読書体験ができるでしょう。

物語の中の思想の旅。小説を読むのがグッと楽しくなる物語です。

野崎まど(ノザキマド)
2009年『“映”アムリタ』で、「メディアワークス文庫賞」の最初の受賞者となりデビュー。2013年に刊行された『know』(早川書房)は第34回日本SF大賞や、大学読書人大賞にノミネートされた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)

春にして君を離れ アガサ・クリスティー

★★★★★

世界で一番翻訳された小説家、アガサ・クリスティのロマンス小説。

story:優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる…女の愛の迷いを冷たく見据え、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。(「BOOK」データベースより)

『春にして君を離れ』は「ミステリーの女王」クリスティが、家族・ロマンス等ジャンルとして別名義・メアリー・ウェストマコットのペンネームで出したサスペンスタッチの恋愛小説。クリスティファンの間でも人気の高い作品で、心理描写が上手なクリスティの真骨頂とも言うべき評価の高い一冊です。

物語は主人公であるイギリス人の主婦・ジョーンの回想録。人生の荒波を上手に乗り越えたと自負するジョーンが旅の途中で自分の過去を見つめなおし、恐ろしい真実に気付くというストーリー。
幸せなはずのジョーンの意識下にあるわだかまり。それは、家族の言動や態度のちょっとした違和感でした…

忙しい現代人は人と関わる時に起こるにすれ違いを、些細な事とうやむやにしてしまいがち。自分と他者との認識がどのくらいずれているのか、知るのは少し怖いですよね。この物語を怖いと感じるか、哀しいと感じるか、登場人物から受ける印象も人それぞれだと思います。

ミステリー仕立てのストーリーも面白く読みやすい。
他者との関係が希薄になりつつある今だからこそ読んで欲しい。自己を見つめなおす一冊です。

クリスティー,アガサ(Christie,Agatha)
1890年、保養地として有名なイギリスのデヴォン州トーキーに生まれる。1914年に24歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚し、1920年には長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。1926年には謎の失踪を遂げる。様々な臆測が飛び交うが、10日後に発見された。1928年にアーチボルドと離婚し、1930年に考古学者のマックス・マローワンに出会い、嵐のようなロマンスののち結婚した。1976年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は100以上にのぼる。現在も全世界の読者に愛読されており、その功績をたたえて大英帝国勲章が授与されている(「BOOK」データーベースより)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

一次元の挿し木 松下 龍之介

★★★★★
2025年第23回「このミステリーがすごい!」大賞文庫グランプリ受賞作品。
story:ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨。大学院で遺伝学を学ぶ悠がDNA鑑定にかけると、四年前に失踪した妹のものと一致した。不可解な鑑定結果から担当教授の石見崎に相談しようとするも、石見崎は何者かに殺害される。古人骨を発掘した調査員も襲われ、研究室からは古人骨が盗まれた。悠は妹の生死と、古人骨のDNAの真相を突き止めるべく動き出し、予測もつかない大きな企みに巻き込まれていくーー。(出版社より)
現実には起こりえない現象や、人ならざる者の気配。
一次元の挿し木』は、コズミック・ホラーのような世界観に気味の悪い殺人事件が上手く合わさった今話題沸騰中のミステリー小説。奇妙な世界へ迷い込んだような浮遊感と気味の悪さを感じながらも不可解な謎にページをめくる手が止まらなくなる一冊です。
二百年前の人骨は四年前に失踪した妹の骨だった。大学院生の悠は、あろうことか科学の力で非科学的な現実を証明してしまいます。鑑定を依頼した教授の恐ろしい死にざまに、このいわくつきの案件は呪われているのかとさえ思われるのですが…
著者が仕掛けたミスリードにまんまとはまってしまう「やられた感」を味わえるのはミステリーの醍醐味。テンポ良い展開でサクサク読めるミステリーです。
松下龍之介(マツシタリュウノスケ)
1991年、東京都江戸川区生まれ。千葉工業大学大学院工学研究科修士課程修了。現在は機械システム事業を扱う会社で、火力発電所や製鉄所向けの高圧ポンプの設計や技術提案に携わっている。第23回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞し、本作でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)

PRIZE-プライズー 村山 由佳

★★★★★
story:天羽カインは憤怒の炎に燃えていた。本を出せばベストセラー、映像化作品多数、本屋大賞にも輝いた。それなのに、直木賞が獲れない。文壇から正当に評価されない。私の、何が駄目なの?…何としてでも認めさせてやる。全身全霊を注ぎ込んで、絶対に。業界震撼の“作家”小説!(「BOOK」データベースより)
文藝春秋社を興した菊池寛が創設した直木賞は、もともと無名もしくは新進作家に送られる賞でした。文運隆盛と金銭的な意味合いを含め若手作家へのエールが込められていたようですが、大衆文学は作品単体での評価が難しいことなどから近年はほぼ、中堅・大ベテランの作家が受賞されているようです。
日本の文学賞の中で最も威厳があり、また一般認知度の高い直木賞。その冠が付くのと付かないでは作家の人生までもが変わってくると言います。この物語の主人公も推しも押さもせぬ人気と実力を兼ね備えた作家。そんな彼女が直木賞に拘る理由とは…。
偏執的なまでに賞を欲する作家の内面が赤裸々に描かれており、文壇のあれこれも含め、さらけ出された本音がリアルで面白い。承認欲求なのか自己顕示欲なのか、それとも純粋な想いなのか。破天荒でカリスマだが「実際いたら嫌なヤツ」そんな主人公のキャラクターと相まって不穏な空気が立ち込める展開にも目が離せない。業界震撼の話題作です。
村山由佳(ムラヤマユカ)
1964年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。93年『天使の卵 エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞、09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞・島清恋愛文学賞・柴田錬三郎賞、21年『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)

戻り川心中 連城 三紀彦

★★★★★
日本推理作家協会賞受賞作品。連城三紀彦の代表作。
story:大正歌壇の寵児・苑田岳葉。二度の心中未遂事件で、二人の女を死に迫いやり、その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。岳葉が真に愛したのは?女たちを死なせてまで彼が求めたものとは?歌に秘められた男の野望と道連れにされる女の哀れを描く表題作は、日本推理作家協会賞受賞の不朽の名作。耽美と詩情ーミステリ史上に輝く、花にまつわる傑作五編。(「BOOK」データベースより)
「我が国のミステリーの歴史において、最も美しくたおやかな名花である」
解説の言葉にあるように『戻り川心中』は、ミステリーでありながら純文学的な読み心地で評価の高い小説。明治から昭和初期にかけての閉塞感漂う空気やそこで蠢く人々の人間模様を通して、様々な人生の陰影が退廃的な美しさで描かれています
また、5編の短編からなる物語それぞれに想像も出来ない意外な展開や、あっと驚かされる真実が待ち受けており、どんでん返しのミステリーとしても面白い。
芥川や太宰、乱歩など、どこかあの時代の文豪の匂いのするストーリーや世界観が趣深い。
読み応え十分な名作です。
連城三紀彦(レンジョウミキヒコ)
1948年愛知県生まれ。早稲田大学卒業。78年に「変調二人羽織」で「幻影城」新人賞に入選しデビュー。81年「戻り川心中」で日本推理作家協会賞、84年『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞、同年『恋文』で直木賞を受賞。96年『隠れ菊』で柴田錬三郎賞を受賞。2013年10月、死去。14年、日本ミステリー文学大賞特別賞を受賞(「BOOK」データベースより)
〈このブログ記事の参考資料〉
*ウイキペディア ほか
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