2024年11月・12月に読んだ本

読書日記月別
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2024年11月・12月に読んだ本をまとめました。
人気作家さん、話題の本を中心に読んでいます。

私の満足度・おススメ度でをつけています。

★★★★★ とても良かった!!人に薦めたい!これを読まないなんて、人生損している!

★★★★  とても良かった!充実した時間をありがとう。是非、読んでみてください!!

★★★   読んで良かった。面白かったです。読んで損はない!

★★    少し難しかったかな?あなたの意見を聞かせてください。

     う~ん、今の私には難解だった。また、再挑戦します。

あくまで私の基準です。本選びの参考になればうれしいです。

別れを告げない ハン・ガン

★★★★★

2024年ノーベル文学賞を受賞した韓国の作家ハン・ガンが描く「済州4.3事件」。

story:作家のキョンハは、虐殺に関する小説を執筆中に、何かを暗示するような悪夢を見るようになる。ドキュメンタリー映画作家だった友人のインソンに相談し、短編映画の制作を約束した。
済州島出身のインソンは10代の頃、毎晩悪夢にうなされる母の姿に憎しみを募らせたが、済州島4・3事件を生き延びた事実を母から聞き、憎しみは消えていった。後にインソンは島を出て働くが、認知症が進む母の介護のため島に戻り、看病の末に看取った。キョンハと映画制作の約束をしたのは葬儀の時だ。それから4年が過ぎても制作は進まず、私生活では家族や職を失い、遺書も書いていたキョンハのもとへ、インソンから「すぐ来て」とメールが届く。病院で激痛に耐えて治療を受けていたインソンはキョンハに、済州島の家に行って鳥を助けてと頼む。大雪の中、辿りついた家に幻のように現れたインソン。キョンハは彼女が4年間ここで何をしていたかを知る。インソンの母が命ある限り追い求めた真実への情熱も……
いま生きる力を取り戻そうとする女性同士が、歴史に埋もれた人々の激烈な記憶と痛みを受け止め、未来へつなぐ再生の物語。フランスのメディシス賞、エミール・ギメ アジア文学賞受賞作。(出版社より

韓国当局による自国民の虐殺事件「済州島4.3事件」は長年タブーとして封印されてきたため、あまり広くは知られていません。韓国では近年まで思想検閲のようなものがあった政権もあり、著者のハン・ガンは、政権に批判的な芸術家として「ブラックリスト」に名前が記載されていたこともあったそうです。

物語は「歴史的トラウマ」を抱えた島の記憶への旅。主人公と共に雪に閉ざされた夢とも現実ともつかない世界に誘われます。雪に吸収されたかのような音のない夜、命の鼓動を感じない存在、感覚はあるのに実感がなく、生と死の交わる神秘が敏感で繊細で詩的な言葉で綴られています。過去の真実が自身の頭の中から蘇ってくるような、夢の中にいるような感じを受けました。

『別れを告げない』は現代史の暗部「歴史的トラウマ」をモチーフにした小説ですが、ハン・ガンはこの作品を「究極の愛の小説」だと語っています。
辛い歴史に別れを告げない。忘れない。真実を知り、心に刻むように読みたい一冊です。

ハンガン
1970年、韓国・光州生まれ。延世大学国文学科卒業。1993年、季刊「文学と社会」に詩を発表し、翌年ソウル新聞の新春文芸に短篇小説「赤い碇」が当選し作家としてデビューする。2005年、三つの中篇小説をまとめた『菜食主義者』で韓国最高峰の文学賞である李箱文学賞を受賞、同作で2016年にアジア人初のマン・ブッカー国際賞を受賞する
斎藤真理子(サイトウマリコ)
翻訳家。パク・ミンギュ『カステラ』(共訳)で第一回日本翻訳大賞、チョ・ナムジュ他『ヒョンナムオッパへ』で“韓国文学翻訳院”翻訳大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)

冬期限定ボンボンショコラ事件 米澤 穂信

★★★★★

直木賞作家・米澤穂信の人気ミステリー「小市民シリーズ」完結編。『春期限定いちごタルト事件』『夏限定トロピカルパフェ事件』が2024年の夏季にテレビアニメ化されました。続編の『秋期限定栗きんとん事件』と共に来春アニメ放送予定です。

story:小市民を志す小鳩君はある日轢き逃げに遭い、病院に搬送された。目を覚ました彼は、朦朧としながら自分が右足の骨を折っていることを聞かされる。翌日、手術後に警察の聴取を受け、昏々と眠る小鳩君の枕元には、同じく小市民を志す小佐内さんからの「犯人をゆるさない」というメッセージが残されていた。小佐内さんは、どうやら犯人捜しをしているらしい…。冬の巻ついに刊行。(「BOOK」データベースより)

謎があれば解かずはにいられない主人公・小鳩君と、互いに助け合う“互恵関係”を結んだ小佐内さん。この冬期編では、2人が謎解きと無縁のごく普通の高校生「小市民」を目指すきっかけになった事件がついに明らかに。

前向きで積極的な中学時代の小鳩君と小佐内さんの可愛らしい姿が新鮮で印象的。過去と現在を行ったり来たりするストーリーは、高校生の二人の成長を感じさせます。この轢き逃げ事故と過去の事件との類似性や、小鳩君の失敗、そして何故かなかなか会えない小佐内さん。どことなく不穏な空気が漂う中、つかみどころのない違和感がつながっていく展開は完結編にふさわしく、小鳩君の鮮やかな名安楽椅子探偵ぶりを見ることができます。小佐内さんとのタッグもがっちり噛み合って、もしかして二人の距離も!と期待させますが…

ほのぼの?青春ミステリー完結編。冬にピッタリなミステリーです。

米澤穂信(ヨネザワホノブ)
1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞、『満願』で第27回山本周五郎賞、『黒牢城』で第12回山田風太郎賞および第166回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)

冷たい校舎の時は止まる 辻村 深月

★★★★★

人気作家・辻村深月のデビュー作にしてメフィスト賞受賞作品。

story:雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろうー。第31回メフィスト賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

『冷たい校舎の時は止まる』は辻村深月が作家を目指していた高校時代から原案を書き始めたとのことで、まさに著者の原点とも言える作品です。少しホラー味のある密室劇と、等身大の高校生たちの群像劇が面白い。

雪の降り積もる学校に閉じ込められたのは8人の高校生。文明の力が通用しない外界と隔絶された空間や、恐怖の状況を作り出した犯人が紛れているというクローズド・サークル的展開はミステリーファン垂涎ものの設定ですね。

登場人物の過去のエピソードにより共感したり、温かい気持ちにさせられたりする一方で、新たなる疑惑も次々と生まれ、感情が揺さぶられます。未だに解明されないミステリーの謎や、背筋が凍る怪奇現象にハラハラドキドキが止まらないでしょう。

読みやすく、学生から大人まで楽しめるサスペンスミステリーです。

辻村深月(ツジムラミズキ)
2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞(「BOOK」データベースより)

イッツ・ダ・ボム  井上 先斗

2024年度『このミステリーがすごい!』に第13位ランクイン。

story:「日本のバンクシー」と耳目を集める新鋭“ブラックロータス”。彼の正体を熱心に追うウェブライター。ストリートにこだわり続けるグラフィティライター“TEEL”。そして「落書きなんて流行らない時代」に落書きを始めた青年。「俺はここにいるぞ」と叫ぶ声が響く、新世代のクライム・ノヴェル!第31回松本清張賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

政治や社会に対しての批評をストリートアートで表現するという手法で人気を博したのは、正体不明の「アート・テロリスト」ことバンクシー。今世界中で最も人気のあるストリートアーティストとしてその作品は高額な値がつくとか。

物語は、彗星のごとく現れた「日本のバンクシー」に翻弄される人々の姿を描いています。

社会風刺のセンスに多くの人の共感を得て、SNSを賑わせているグラフィティライター・ブラックロータスですが、新作として拡散された作品は公職選挙法に触れるアートでした。批判的な意見が多いアートはしかし、普段は閑散としている選挙掲示板の前に人だかりを作らせ、何かが発せられているような空気すらも感じられるものでした。この件に興味を持ったライターはブラックロータスについての取材を決意しますが…。

取材していく中で膨らんでいく謎や、ブラックロータスの正体などミステリーの要素もあるハードボイルド的作品。移ろいゆく時代の価値観の変化が見え、考えさせられます。

井上先斗(イノウエサキト)
1994年愛知県生まれ。成城大学文芸学部文化史学科卒業。2024年、本作『イッツ・ダ・ボム』(「オン・ザ・ストリートとイッツ・ダ・ボム」より改題)で第31回松本清張賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)

斜め屋敷の犯罪 島田 荘司

★★★★★

新本格ミステリーのジャンルを切り開いた島田荘司の代表作・御手洗シリーズの第2作目。

story:北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館ー通称「斜め屋敷」。雪降る聖夜にこの奇妙な館でパーティが開かれたが、翌日、密室状態の部屋で招待客の死体が発見された。人々が恐慌を来す中、さらに続く惨劇。御手洗潔は謎をどう解くのか!?日本ミステリー界を変えた傑作が、大幅加筆の改訂完全版となって登場!(「BOOK」データベースより)

クセのある探偵と魅力的なキャラクターたち、濃密な人間関係とユーモア溢れるやりとり、そして犯行不可能かと思われる密室。英国ミステリーにある世界観を再現させた御手洗潔シリーズは国内外に多くのファンを持っています。

ミステリー作家・綾辻行人氏はこの『斜め屋敷の犯罪』を読んで、人気作品『館シリーズ』の連作を書こうと思いついたそうで、好きの勢いが余って探偵役の名も同じ「潔」にしたらしい。
また、アガサクリスティーの後継者と言われているアンソニー・ホロヴィッツが最高の密室ミステリとして絶賛しているとも。
一方で、伊坂幸太郎氏は「ミステリーマニアなら喜ぶかもしれないがミステリー初心者に薦めるには適さない小説かもしれない」と評しているとかいないとか。こちらは「島田荘司信者」を自認する愛好家ならではの分析。

あっと驚く大胆なトリックと、謎が解けたかと問う「読者への挑戦」は健在。本格ミステリーを堪能できる一冊です。

島田荘司(シマダソウジ)
1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで人気を博す。2008年日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や台湾にて中国語による「島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成にも尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳、紹介にも積極的に取り組んでいる(「BOOK」データーベースより)
※『蒼穹の昴』はまとめて掲載いたします。
〈このブログ記事の参考資料〉
*ウイキペディア ほか
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