日本近現代の名作小説や詩を人気声優人たちの朗読で味わうシリーズ。
2度目となる今回は、日野聡さんが朗読する太宰治の「斜陽」を聴いてみました。
前回の石田彰さんの「人間椅子」はとても良かったので第2弾を。
何を聴くか探している時にちょうど「鬼滅の刃」がテレビで放映されていましたので、それがきっかけで選びました。
日野聡さんといえば、真っ先に思いつくのが「鬼滅の刃」の煉獄さんですね。「よもや、よもや」、「うまい」というセリフは耳に残るくらいインパクトがあります。
他にもNetflix限定ですが、昨年流行った「愛の不時着」で主人公の恋のお相手、朝鮮人民軍軍人リ・ジョンヒョクの吹き替えも行っております。かっこよかったですね。
今とても人気上昇中の声優さんで、私の知っているところでは「呪術廻戦」の加茂さんや「東京リベンジャーズ」のキヨマサくんと人気アニメに多数出演されています。
どれも全く雰囲気が違い、とても幅広い役をこなされています。
さて、そんな日野聡さんですが、朗読するのは太宰治の「斜陽」。
「斜陽」は戦後、没落していく貴族の家庭の様を描いた小説です。とりあえず聞いてみました。
「斜陽」の文章は、主人公のかず子の貴族の女性らしいおしとやかでちょっとプライドの高い性格が表されているような語り口で書かれているのが特徴です。
イケボ(イケてるボイスの略で、いい声という意味です。)で有名な日野聡さんですが、女性声は初めて聴きました。優しい雰囲気が感じられて良いです。また、麻薬中毒の弟、直治の口汚い感じも想像以上です。
何よりも一番びっくりしたのは、かず子が惚れている流行作家の上原の演じ分け。出会った時の上原はイケボフル活用かっこいい感じですが、6年後に再開したアルコール中毒で落ちぶれた上原は、気持ち悪いおっさん(失礼)そのものでした。
やはり実力派人気声優だけあり上手ですね。
ストリーの方は、大まかな流れはつかんでいるものの、蛇のくだりや上原への恋文など端折っているところも。
本の方がその世界観にどっぷり浸れますが、この世に居場所がないと感じる貴族のふわふわした感じや、地を這うように生きることへの醜さに嫌悪している人達など、その雰囲気はよく伝わります。
20分弱、あっという間でした。私としては、あと10分足して蛇のくだりは入れて欲しかったけれども、作品としてはよくまとまっています。
斜陽族という言葉をも生み出した太宰治の代表作「斜陽」はまさに滅びの美学。読んだことがない方はぜひ聴いてみてください。
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1909年(明治42年)、青森県金木村(現五所川原市)生まれ。本名、津島修治。東大仏文科在学中に非合法運動に従事するもやがて転向、本格的な執筆活動へ。35年(昭和10年)、「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。この頃からパビナール中毒に悩む。39年、井伏鱒二の紹介で、石原美知子と結婚。平穏な生活を得て、「富嶽百景」「女生徒」「走れメロス」などの多くの佳作を執筆。戦後、『斜陽』でベストセラー作家となるが、「人間失格」を発表した48年、「グッド・バイ」連載中の6月13日夜半に山崎富栄と玉川上水で入水し、没