2025年9月・10月に読んだ本

読書日記月別
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2025年9月・10月に読んだ本をまとめました。
人気作家さん、話題の本を中心に読んでいます。

私の満足度・おススメ度でをつけています。

★★★★★ とても良かった!!人に薦めたい!これを読まないなんて、人生損している!

★★★★  とても良かった!充実した時間をありがとう。是非、読んでみてください!!

★★★   読んで良かった。面白かったです。読んで損はない!

★★    少し難しかったかな?あなたの意見を聞かせてください。

     う~ん、今の私には難解だった。また、再挑戦します。

あくまで私の基準です。本選びの参考になればうれしいです。

注文の多い料理店 宮沢 賢治

★★★★★

story:これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりませんー生前唯一の童話集『注文の多い料理店』全編と、「雪渡り」「茨海小学校」「なめとこ山の熊」など、地方色の豊かな童話19編を収録。賢治が愛してやまなかった“ドリームランドとしての日本岩手県”の闊達で果敢な住人たちとまとめて出会える一巻。(「BOOK」データベースより

目次:注文の多い料理店/雪渡り/ざしき童子のはなし/さるのこしかけ/気のいい火山弾/ひかりの素足/茨海小学校/おきなぐさ/土神ときつね/楢ノ木大学士の野宿/なめとこ山の熊(「BOOK」データベースより

宮沢賢治が生前に出版した唯一の作品集『注文の多い料理店』に収録されている作品から生前未発表の作品まで。賢治の趣味である鉱物をテーマにした作品など自然と人間を描いた童話集

物語の舞台は、不思議なファンタジー空間「イーハトーブ」。これは賢治の心象世界にあるユートピアで、ドリームランドとしての日本の岩手県を描いているそうです。岩手の逸話伝承をもとにした作品『遠野物語』にも通じる物語は地方色豊かで、楽園の中に恐ろしさやもの悲しさもうっすらと漂う、児童文学ながら子供から大人まで楽しめるストーリーになっています。

また、物語には動植物と人間の共生へのメッセージが込められており、理想と現実の両方の視点は暖かく時には辛辣。人間の傲慢さが浮き彫りになりつつも、全ての生命の輝きを感じられる爽やかな読後感を得られるでしょう。

宮沢賢治(ミヤザワケンジ
1896年岩手県花巻市に生まれる。盛岡高等農林学校農芸化学科卒業。10代の頃から短歌を書きはじめ、多くの詩や童話の作品を残した。生前に、詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を刊行。また、羅須地人協会を設立し、農民の生活の向上のために尽くしたが、1933年急性肺炎のため37歳で永眠(「BOOK」データベースより)

洞爺丸はなぜ沈んだか 上前 淳一郎

★★★★★

story:昭和二十九年の青函連絡船洞爺丸沈没事故。タイタニックに匹敵する多くの犠牲者を出したこの事故の全貌を、時間の経過を追って克明に再現し、事故の真因にせまる。(「BOOK」データベースより)

多くの人を感動の渦に巻き込んだ映画史に残る名作『タイタニック』により、当時世界最大の客船の沈没事故は世界的に良く知られています。しかし、約1500人前後の死者を出したこの最悪の事故と同レベルの約1150人もの死者を出した客船沈没事故が、実は日本でも起こっていたことを知る人は少ないと思います。

本土と北海道を繋ぐ青函トンネル開通以前は、青函連絡船が基幹ルートでした。洞爺丸は、当時の国鉄がGHQの許可を得て建造した車載客船4隻の内の第1船です。

『洞爺丸はなぜ沈んだか』は、あり得ない大惨事「洞爺丸事故」で生き残った人たちのおびただしい証言をもとに描かれたノンフィクション小説。新聞記者出身の著者の綿密で丹念な取材によって描かれた物語は、時間経過と共に乗組員、乗客、それぞれの視点があり、また、気象台、韋駄天台風などの状況なども並行して描かれているため、まるでこの船に乗り合わせているかのような臨場感が凄まじい。迫り来る恐怖や、パニック状況、そして明らかになっていく全貌にページをめくる手が止まりません。

助かった者と命を落とした者。運命の分かれ目はサバイバルとして、ビジネス書としてもおすすめの一冊です。

湯本香樹実(ユモトカズミ)
1959年東京都生まれ。作家。1993年『夏の庭ーThe Friends-』で、日本児童文学者協会新人賞、児童文芸新人賞を受賞。本作品は10カ国以上で翻訳され、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ミルドレッド・バチェルダー賞などを受賞。2009年『くまとやまねこ』(絵:酒井駒子)で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。本作品はフランスやパレスチナなど、10の国と地域で翻訳される。絵本の翻訳も手がける(「BOOK」データベースより)

罪と罰  ドストエフスキー

★★★★★

story:鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、一つの微細な罪悪は百の善行に償われるという理論のもとに、強欲非道な高利貸の老婆を殺害し、その財産を有効に転用しようと企てるが、偶然その場に来合せたその妹まで殺してしまう。この予期しなかった第二の殺人が、ラスコーリニコフの心に重くのしかかり、彼は罪の意識におびえるみじめな自分を発見しなければならなかった。(「BOOK」データベースより)

『罪と罰』はロシア三大文豪の一人・ドストエフスキーの代表作。ミステリ―・恋愛・社会風刺と様々な要素があり、それらが絡み合う複雑な人間の深層心理が見事に描かれています。心理学として社会問題として、現代においても通じる問題に考えさせられます。また、ミステリーとしての面白さも兼ね備えており、今なお多くの読者を魅了し続けています。

多くの魅力がある小説ですが、特筆すべきは何と言っても徹底した心理描写。独善的な思想であったり、歪んだ自己愛であったり。知的信仰からくるエゴイズム、そして犯罪心理など物語全ての出来事に主人公の思想が反映されており、人間の感情を綿密に描き出しているところに日本の純文学に通じる深さと面白さがありました。(海外では純文学というジャンルはないそうです)

またミステリ―として、犯人である主人公と罪を暴こうとする予審判事との駆け引きや論戦は倒錯ミステリ―的であり、推理小説としても面白く読みやすい。

言わずと知れたロシア文学の傑作。読む度に新しい発見がある、手もとに置いておきたい世界的名作です。

ドストエフスキー
1821年、モスクワ生まれ。医師の父と敬虔なキリスト教徒の母のもと育つ。46年、『貧しき人々』でデビュー。49年、空想社会主義サークルに参加したことを理由に逮捕。銃殺刑を命じられるも、執行直前に特赦を受け、シベリアに流刑。服役後、『死の家の記録』などで文筆活動に復帰。以降、『地下室の手記』『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』などの作品を発表。レフ・トルストイと並び十九世紀ロシア文学を代表する世界的作家と称される。『カラマーゾフの兄弟』完結直後の81年、病のため死去(「BOOK」データベースより)

凍える島 近藤 史恵

story:喫茶店〈北斎屋〉店長の野坂あやめは、得意客やその友人を含む男女八名で、瀬戸内海に浮かぶS島を訪れた。数年前まで新興宗教の聖地だったという島で、良質な退屈を楽しむはずが、密室状況で無惨な刺殺体が発見されてしまう。それが悲劇の幕開けとなり、一人また一人と殺され疑心暗鬼に陥る一行。霧に包まれた孤島で何が起きているのか。著者の原点たる第4回鮎川哲也賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

美味しい料理とほっこり日常のミステリーを描いた『タルト・タタンの夢 』で有名な著者のデビュー作。アガサクリスティ『そして誰もいなくなった』のオマージュ的作品。

無人島に連続殺人、犯人はこの中にいる誰か…。孤島ミステリ―は、閉鎖空間で起こる恐怖とスリルと非日常ゆえのワクワクを存分に体験できるエンターテイメント溢れる人気のジャンルです。この物語も次から次へと息をつかせぬ惨劇が待ち構えていますが、一方で、ストーリーはサスペンス色が強め。厭世的な登場人物たちの人間模様を通して、愛や葛藤など主人公の心の動きが丁寧に描かれています。

あっと驚く真実の後には世界が違って見えるかも。じんわりと心に沁みるミステリーです。

近藤史恵(コンドウフミエ)
1969年大阪市生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年、『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞してデビュー。2008年に『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)

世界99 村田 紗耶香

★★★★★

story:性格のない人間・如月空子。彼女の特技は、“呼応”と“トレース”を駆使し、コミュニティごとにふさわしい人格を作りあげること。「安全」と「楽ちん」たけを指標にキャラクターを使い分け、日々を生き延びてきた。空子の生きる世界には、ピョコルンがいる。ふわふわの白い毛、つぶらな黒い目、甘い鳴き声、どこをとってもかわいい生き物。当初はペットに過ぎない存在だったが、やがて技術が進み、ピョコルンがとある能力を備えたことで、世界は様相を変え始めるー。性格のない「からっぽ」の空子の一生と人間社会の終着点を描いた、全世界注目のディストピア大長編!(「BOOK」データベースより)

敏感で共感性が高い人は、好かれやすく社交性も高いように思います。しかし、中には感受性が強すぎる為、周りの刺激に対してのフィルタリングが弱く、自分が自分であるための精神的テリトリーを守り切れていない人もいて、そういう人は幸福を感じにくいのだとか。

物語の主人公・空子はその反対で、いわゆる人間の感情を知らないAI人間みたいなキャラクター。感じることは出来ないけれども、感情によって引き起こされる反応を学習して真似、周りの共感を得ている女性。

そんな空子が日本の未来を暗示させるディストピアのような世界で目撃するおぞましい日常とグロテスクな常識の数々に読者は驚かされ恐怖を覚えるかも知れません。あるいは、淡々とした空子の感情…と言うよりは所感にSF的面白さとホラー味を感じるかも知れません。日本人の流されやすさ、事なかれ主義の性格、男性優位の社会。日本社会を皮肉った風刺がきいていて、受け取る印象は人によって違ってくると思います。

ネガティブなことに対して、いっそのこと何も感じなければ幸せか。課されている責任や苦痛を取り除けば幸福な未来が待っているのか。ユートピアの概念をぶち壊す一冊です。

村田沙耶香(ムラタサヤカ)
1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年「コンビニ人間」で芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(「BOOK」データベースより)
〈このブログ記事の参考資料〉
*ウイキペディア ほか
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